香川 先ほど久木田が「網羅的かつ統合的な見地」と言ったように、M&Aでは総合力が問われます。しかし、企業が大きくなると部門がサイロ化し、足並みをそろえて共通のゴールに向かっていくのが難しくなります。これを打破するポイントの一つが「人材」ですが、リーダーシップを発揮して組織を率いていける人材が社内に存在しているのか。この点もまたネックになるでしょう。

――そうした課題を事業会社が抱えている中、企業を支援するPwC Japanグループとしては、M&Aに対してどう向き合っているのでしょうか。

M&Aは一過性のイベントではない。変革につなげ、価値創造の循環を生み出すべき久木田光明(MITSUAKI KUKITA)
PwCコンサルティング パートナー

久木田 PwCでは、「Transact to transform」というコンセプトをグローバルで提唱しています(図2)。M&A(=トランザクト)を「変革(トランスフォーム)」のための一手段と捉え、一度限りのイベントではなく継続的に活用して持続的に変革を起こし、価値創造の循環を生み出すという考え方です。

 PwC Japanグループの強みは、M&Aだけではなく「変革」もしっかり見据えたこうした価値創造の循環をワンストップで支援できることです。例えばPwCコンサルティングには、グローバル戦略からDX・テクノロジー、サステナビリティー、ピープルトランスフォーメーションに至るまで、経営層が求める重要な「変革」を実現できるような多様な専門性がありますので、特定の領域に偏らない正しい「変革」へと導くことができます。

M&Aは一過性のイベントではない。変革につなげ、価値創造の循環を生み出すべき図2 「Transact to transform」の概念図
拡大画像表示

香川 PwC Japanグループでは、私が属するPwCアドバイザリーや久木田が所属するPwCコンサルティングの他、監査法人や税理士法人、弁護士法人など、さまざまな専門ファームが連携しています。M&Aを変革につなげるためには、ビジネスに対する深い理解、会計・ 税務・法務といった多様な課題への対応が必要になりますが、久木田の言う通り、それら全てにワンストップで対応できることがPwC Japanグループの強みです。

 また、PwC Japanグループのみならず、クライアントの課題に応じて世界150以上の国・地域にあるPwCグローバルネットワークとシームレスに連携できることも強みです。