総合商社だからこそ提供できる「総合サービス」 住友商事の「SOSiLA」が探る新たな物流の在り方(左)住友商事 物流施設事業ユニット長 千切克彦氏 (右)物流施設事業ユニット 副ユニット長 開発第3チームリーダー データセンターチームリーダー矢野健太郎氏

不動産事業を祖業とする住友商事が開発する物流施設「SOSiLA(ソシラ)」は単なる「倉庫」ではない。国内外のあらゆるパートナーと連携し、多岐にわたる事業展開を行う総合商社だからこそ提供できる「物流ソリューション」である。

お互いに協調する
「Hands-on」精神で
創った新しい物流施設

 Eコマース市場の拡大により物流施設の需要が高まる一方、配送トラックのドライバーや倉庫内就労者の不足が社会問題となっている。大手商社の中で唯一不動産事業を直接手掛ける住友商事は、物流における社会課題を解決すべく「人と社会をつなぐ物流施設」をコンセプトに、物流施設の「SOSiLA(ソシラ)」シリーズを展開。消費地に近接した新たな物流施設の開発を進めている。

「住友商事が大切にしている価値観の一つに『Hands-on』があります。自分たちも事業の現場に参画して一緒につくり上げていく発想です。SOSiLAが目指す『人と社会をつなぐ物流施設』にもその精神は貫かれており、徹底した現場主義の下、開発パートナーをはじめとする関係者の皆さまと一緒に、あるべき物流施設の姿を探り、汗をかくことで生まれました」と、「SOSiLA」と他の物流施設との違いを説明するのは千切克彦物流施設事業ユニット長だ。

総合商社だからこそ提供できる「総合サービス」 住友商事の「SOSiLA」が探る新たな物流の在り方住友商事 物流施設事業ユニット長 千切克彦

「SOSiLA」の第1号物件は2015 年に発表した千葉県習志野市茜浜の「SOSiLA習志野茜浜Ⅲ」(16年9月竣工)。以降、開発物件は首都圏・関西圏で全20棟にも及ぶ。消費地へのアクセスに優れたラストワンマイル(物流施設からエンドユーザーまで商品を運ぶ最後の区間)の拠点として最適な消費地近接型の物流施設であり、EC物流や、コンビニエンスストアおよびスーパー等の多頻度配送を実施する業態に向く。

 17年に竣工した「SOSiLA横浜港北」は、同一施設内で3温度帯に対応した大手コンビニ事業者の戦略的物流拠点として稼働している。

「消費地近接型のため、従来の拠点では1日2往復だった配送業務が3往復できるようになり効率が改善、生産性も上がりました。長距離輸送とは違い環境負荷が低減され、さらに倉庫内で働く人の労働時間も短くなっています」と千切ユニット長。

 消費地近接型ということは、近隣に働き手が多く採用が比較的容易だということでもある。「SOSiLA横浜港北」では約1000人規模の雇用が生まれたという。