疲労の回復に効く錠剤をはじめ「アリナミン」ブランドの製品で知られるアリナミン製薬と、ノーベル賞候補者としてたびたび名前が挙がる睡眠研究の第一人者、筑波大学の柳沢正史教授が「疲労と睡眠」をテーマに3年間の予定で共同研究を開始する。柳沢教授は睡眠と覚醒のスイッチング機能を調整する、脳内の神経伝達物質オレキシンを発見したことでも知られるが、自ら、S’UIMINという会社を設立し、睡眠計測サービスを提供しつつ、睡眠の重要性の啓発も行っている。現代のビジネスパーソンにとって、疲労回復と睡眠は共に重要なテーマだ。共同研究の狙いや睡眠に関する最新の知見について、S’UIMIN代表取締役社長も務める柳沢正史教授、同社の小久保利雄取締役CSO、アリナミン製薬の森澤篤代表取締役社長CEO、同社の西窪栄治常務執行役員プロダクト戦略本部長らが語り合った座談会の模様をお伝えする。
「疲労と睡眠の関係」を検証
――今回の共同研究の目的ときっかけについて教えてください。
森澤(アリナミン製薬) 当社の主力製品である「アリナミン」シリーズに関して、お客さまからいろいろな相談が毎月何百件も寄せられます。さらに追加インタビュー調査などをすると「疲れると眠くなるのが普通だが、寝る前に激しい運動をすると眠れない」とか、「ひどく疲れているのに眠れない」などの声をよく頂いており、「疲労と睡眠にはどのような関係があるのか」という点を深く検証したかったことがまずありました。
もう一つは「アリナミンを服用したら、疲れが取れて、睡眠の質も良くなった気がする」という声もあり、「アリナミン」シリーズに配合している有効成分で抗疲労成分の「フルスルチアミン」がどのように睡眠に関わっているのかについても検証をしたかったことです。
疲労回復は重要ですが、同時に睡眠も重要なテーマです。それで、この関係をひもときたいと思い、睡眠研究の世界的権威である柳沢先生にお話ししたところ、共同研究をご快諾いただいたという次第です。ご所属の筑波大学は医学と体育が密接に連携しており、そのアセットや知見を活用して研究を進められるのでは、との期待もありました。
次ページ以降では、具体的な共同研究の狙いや進め方の他、「日本人の睡眠」の問題点や「良質な眠り」のポイントなどについて紹介していく。