デジタルの力で業界の常識を覆し、カラオケ体験を再定義する“変革者”

カラオケルームに行って、受付をして部屋に案内してもらい、ドリンクやフードをオーダーして、リモコンで選曲し、歌って食べて、受付で支払いをして帰る。ここ何十年も変わらなかったそんなカラオケ体験に革命が起きている。デジタルの力で業界の常識を次々と覆し、「カラオケ体験の再定義」を進める“変革者”とは。

受付を素通り、即乾杯、即カラオケ。驚異の顧客体験を実現

 京都・河原町のとあるカラオケルーム。受付を素通りして部屋に入ると、すぐさまドリンクが運ばれてきて乾杯! すると、まだリモコンで選曲をしていないのにお気に入りの曲がリストに並んでいる。スタートボタンを押せば、あっという間に室内がライブ会場のような熱気に包まれていく──。一体、このカラオケルームはどうなっているのだろうか。

 これまでにない画期的な顧客体験を提供するこのカラオケルームを運営しているのは、関西を中心に180店舗以上のカラオケルーム「ジャンカラ」を展開するTOAI(トーアイ)だ。

 振り返れば、通信カラオケの普及とともにカラオケブームが最高潮を迎えたのは1990年代のこと。現在、カラオケそのものは老若男女の娯楽として根付き、大手数社がシェアを分け合う成熟市場となっている。こうなればサービスは同質化し、革新的な変化は起きづらい。

 そんなカラオケ業界にテクノロジーの力で新たな旋風を巻き起こしているのがTOAIなのである。「カラオケはこれからが面白いと思っています。ジャンカラが先導してカラオケ体験を再定義し、お客さまの体験価値を5倍、10倍にしていきたい」。同社の東原元規社長は自信たっぷりにそう語る。

 一体どうやってジャンカラでは冒頭のような驚異の顧客体験を実現しているのか。東原社長が語る「カラオケ体験の再定義」とは何なのか。成熟市場において、TOAIが次々と変革を起こし続けられるのはなぜなのか。次ページからその謎を解き明かしていく。