デザインや広告コピー生成などの高度な活用も
AI活用は生成AIの登場によって大きく局面が変わった。同社にとってもそのインパクトは大きい。児玉氏は「ビッグデータが注目されたときには、特定のスキルを持った人に作業が集中しました。今のAIはそれを打開する手段になります。そのためにも全社員がAIを使いこなせることが重要です」と話す。
AI全般に対して一定の理解ができたレベルの「AIベーシック」の目標値は2万人だが、すでに延べ8000人以上がeラーニングの基礎研修を受け終えた。「日本語で利用でき、すぐに使える生成AIは肌感覚がつかみやすく、触発しやすいと感じています」と児玉氏は手応えを語る。
成果も目に見える形で生まれているという。「社内では会議の議事録や要約、プレゼンテーションのためのスライドのたたき台の作成など、業務効率化のためにAIが使われるケースが増えています」と児玉氏は語る。
社外に向けても、広告のモックアップを生成AIで作成したり、手書きのマークやロゴをデザインしたり、グラフィックのイメージパターンを幾つも用意したりできる。先日リリースした広告コピー生成ツール「AICO2」もレベルが高く、プロのコピーライターが自分のアイデアを磨くために使っている。
「先日リリースしたラジオ広告を制作するAIにも、大きな反響がありました。企画、収録などにかかるリードタイムを短縮することで、幾つものパターンを作成して切り替えて流すことができるようになります。生成AIによってクライアント様と仕事をするプロセス自体が進化しています」
こうした一種の盛り上がり状態の根底には、同社のクリエーターたちの「良い提案をしたい」というモチベーションの高さがあることは言うまでもない。生成AIを使いたいから、というより、AIで良い提案ができるなら使い倒してみようという発想なのだろう。
児玉氏は「今はそれぞれが自分に合った使い方を模索している状況ですが、確実に効果が出ています」と現状を評価している。