人財尊重を裏付ける
成長支援と給与引き上げ

「いかなる案件でも最後までやり抜くことが私たちの信条。だからこそお客さまから信頼していただけていると考えています。ただ、やり抜くといっても人海戦術で力任せに押し切るわけではありません。コンサルティングから開発まで幅広い分野で持っている技術や知見を最大限に活用してやり抜くというのが、JSOL流だと自負しています」

ITサービスの拡大で成長・安定・テクノロジー・人財尊重を実現「働く場、
成長する場、
社会に貢献する場として
この会社があると私は思っています」

ながい・けんじ 1968年生まれ。東京大学工学部都市工学科卒業。社会インフラを造り出す仕事を志向し、在学中は上水道システムを専攻。研究で用いたシミュレーションやARPANET(インターネットの前身)で社会インフラとしてのITの可能性を痛感し、90年、NTTデータに入社。公共システム事業本部で、グローバルなエコシステムを下支えする社会インフラシステムの企画・構築に長く携わり、ベトナム赴任などを経て2020年、執行役員・中国総代表(中国・台湾法人の会長兼務)。21年、中国・アジア太平洋地域ヘッド。22年6月より現職。

 この永井社長の言葉は、テクノロジー企業としての自負を表すものだが、同時にJSOLが人財尊重企業であることも示している。ITサービス業界では、プロジェクトが難局を迎えた場合、担当スタッフの人数のみならず勤務時間も増やすことでなんとか乗り切るといったケースが珍しくなかった。そうした働き方を良しとしないというJSOLの姿勢が、永井社長の発言にはにじんでいる。

 実際、JSOLは働き方の改善や働きがいの向上、社員の成長の支援といった取り組みにおいて大きな成果を上げている。福利厚生制度は、大手企業グループの一員であることを受けて国内トップクラスの水準にあるし、有給休暇の平均取得日数や育児休業制度の活用率も高い。男性の育休取得率が23年度、72%を超えていることを紹介すれば、こうした点は理解してもらえるだろう。

 当然、外部機関からの評価も高く、健康管理の強化や勤務形態の多様化、女性活躍・ダイバーシティの推進、子育て・介護のサポートなど、JSOLが優良企業として認定・認証を受けている分野は多岐にわたる。

 社員の能力向上への支援にも同社は力を尽くしてきた。最近もITスキル学習プラットフォームであるUdemy Businessを本格導入するなど、社内外の教育や研修によって技能・資格の習得を後押しする制度が充実している。JSOLで情報系資格の取得者数が多く、社員への評価が業界内で高い水準にあるのは、長年の幅広い施策の結果だ。

「当社は文字通り、人が全てです。たとえコーディング(プログラムを組む作業)がAIに任せられるようになっても、お客さまとの対話からニーズをくみ取り、ソリューションを提案していく業務で高い価値を生み出していくのは人。これまでも人を育てること、人の価値を上げていくことに惜しみなく資源を振り向けてきましたし、これからもそうし続けていきます」

 永井社長の言葉が建前などでないことは、給与改定からも明らかだ。JSOLでは21年度から給与水準の引き上げが毎年続いており、これが働きがいの向上や人財の確保に大きく寄与している。根底にあるのは、「会社の収益が上がり続けているのは、人の生み出す価値が増え続けているから。成果を人に還元するのは当然のことです」(永井社長)という考え方だ。

 このように見てくると、成長企業、安定企業、テクノロジー企業、人財尊重企業という四つの顔が互いを支え合うことでJSOLに好循環が生まれている状況が浮かび上がってくる。そして、好循環はさらに続いていきそうだ。