フロンティア
スピリットを重視
創業者の北二郎は「商社は人なり」を信条として、「企業の繁栄と社員の幸福は車の両輪である」という理念を掲げた。その理念は今も人材に対する考え方の基礎となっており、社員が安心して働ける環境の整備が、仕事のパフォーマンスにつながると考えている。
24年4月には10年ぶりに新しい人事制度を導入した。それぞれの担当分野で深い知見と経験を持つ専門人材に対して、マネジメントラインと同等の評価を与え、その評価を反映する報酬を約束したのだ。また2年連続で、新卒総合職の初任給の引き上げも行われた。
「若手人材の育成に関しては、従来から予算をかけて充実させています。22年6月にはより体系的な研修制度を目指し、企業内大学(HKBS)を創設したほか、公募制による国内MBA派遣をスタートして、スキルアップを目指す社員を応援。また海外志向の強い若手に対しては、語学留学や海外トレーニー制度を拡大するなど、海外との接点を増やす取り組みを行っています。また各部署では若手への積極的な権限委譲が行われ、若手がチャレンジする機会を多くつくっています。これは“阪和らしさ”ともいえる文化ですね」(鶴田執行役員)
やる気のある社員に対しては学びの機会を数多く設けており、評価や昇格の基準の透明度も非常に高い。各個人が成長するサイクルが整っている人事制度だといえる。
鶴田執行役員は、「当社はどの系列にも属さない独立系の商社なので、待っていてもどこからも仕事は降ってきません。稼ぐためには、自分たちで新しい仕事を開拓していかなければなりません。フロンティアスピリットを非常に大切にしている会社であり、その精神に共感してくれる学生たちに来てもらいたいと考えています」と話す。
実際にフロンティアスピリットを持つ社員が多く、若手のうちから責任ある仕事に挑戦させてくれる会社と知って入社する学生も多い。多様性という観点から、ある部分にとがっている人材も歓迎され、入社後の業務の中で個性が開花するケースも珍しくないという。
同社の人材教育のキーワードは「Professional & Global」。広い視野を持ち、世界の多様性を理解してコミュニケーションを図ることができる人材が集う会社である。