グローバル市場で
高いシェアを持つコア技術
モビリティ&イメージング事業領域では、セイフティシステムズ事業とポラテクノ事業を展開している。前者の代表的な製品は、長年培ってきた火薬の技術を応用した自動車安全部品である。例えば、エアバッグを瞬時に膨らませる役割を果たすインフレータ。小さな金属製容器の中には、火薬技術を応用したガス発生剤が装填されており、車両衝突時には1000分の1秒単位でエアバッグの展開速度をコントロールする。またシートベルトには車両衝突時に自動的に数インチほど引き込まれる機能がある。この機能に使われているのが、同社のマイクロガスジェネレータと呼ばれる小型ガス発生装置である。
「この両者の製品に組み込まれているのが、スクイブという小さな点火装置で、車両衝突時に衝撃センサーから電気信号を受け取って安全装置を作動させる重要な役割を担っています。緊急時に確実に作動する高い信頼性が求められる装置で、当社のコアコンピタンスであり、グローバル市場で30%ほどのシェアを獲得しています」(涌元社長)
この他、産業用ドローン向けのパラシュート安全装置も開発。ポラテクノ事業では、車載用液晶ディスプレーやヘッドアップディスプレーなどに使われる染料系偏光フィルムを製造。高い耐久性が要求される市場で強みを発揮している。
ファインケミカルズ事業領域では、機能性材料事業で半導体封止材用のエポキシ樹脂を製造、こちらも世界で高いシェアを持つ。色素材料事業では国内最大級の染料メーカーとして業界をリード、樹脂着色やインクジェットプリンターなどの市場へ幅広い製品を提供している。
ライフサイエンス事業領域では、医薬事業と農業用薬剤などのアグロ事業を展開。前者では69年に抗がん薬「ブレオマイシン」を上市して以来、豊富ながん関連製品をラインアップしている。