機械工具の国産化を目指して富山県に創立された不二越。多彩な事業・技術を併せ持つ総合機械メーカーとして成長し、「NACHI」ブランドとして市場はグローバルに広がる。「企業は人なり」の企業理念の下、人材育成に力を入れ、日本のものづくりの発展に貢献している。

高い技術力で日本のものづくりを支える総合機械メーカー不二越
原 英明 代表取締役 専務執行役員

 不二越は1928年、輸入工具が主流であった時代に、機械工具の国産化を目指して創業した。「ものづくりは良い材料から」という考えの下、特殊鋼を内製化。現在は、4事業(機械工具、ロボット、機能部品、マテリアル)・8事業部の構成となり、各事業部を連環させ、技術を発展、融合させながら成長してきた。

「最先端のものづくりには最先端の材料が必要で、そのために耐摩耗性や耐熱性、靭性に優れる特殊鋼を生産するマテリアル部門を設立しました。材料から製品まで、ものづくりのプロセスに一貫して関わることができるのが一番の強みになっています」
 
 そう説明するのは、原英明代表取締役専務だ。

 例えばベアリング事業では、内製化した高品位な材料と工作機・工具の加工技術を応用して、長寿命で信頼性の高いベアリングを開発。自動車分野では、EV化に対応するEアクスル用の軸受などを製造するほか、宇宙開発探査機用の軸受などに広く採用されている。

高い技術力で日本のものづくりを支える総合機械メーカー製造ラインの自動化を実現するロボット。自動車・産機分野を中心に産業用ロボットの開発製造を行っている

 工作機械の自動化技術と油圧制御技術を応用したロボット事業の開始は68年。日本では先駆的ともいえるロボット事業のスタートである。以来、産業用ロボットに注力し、生産性向上に貢献する小型ロボットや、製造現場で活躍する大型ロボット、車体溶接ラインの設備として活躍するスポット溶接ロボット、人間と共に作業できるぶつからない協働ロボットなどを開発・製造。

「当社の市場はグローバルで、現在の海外売上高は53%、将来的には6割にしたいと考えています。海外に29カ所の拠点(販売14社、生産15社)があり、世界中で品質の高いサービスを提供できるのが当社の強みです。連結の売上高は2654億円(2023年度)、常に市場の変化の先を読みながら“攻めの経営”を実行しています」(原代表取締役)