重要戦略にDX・EX
業務効率化

 追い風が吹くレンタル市場。しかし、藤良社長は手綱を緩めない。同社は「レンタルで循環型社会に貢献」することをパーパスに掲げ、SDGsの理念に沿った中長期経営戦略「長期ビジョン2030~ニッケングリーンカンパニー構想」を推進している。同構想では、『DX(デジタルトランスフォーメーション)の更なる推進』『EX(エネルギートランスフォーメーション)の推進』『業務効率化の推進』の三つを重要戦略に位置付けた。

 まずDX。「アウトソース需要を取り込むキーとなるのがDXです」と語る藤良社長。同社はオンラインレンタルなどDXにどこよりも早く取り組むことで、建設現場の生産性向上とコスト削減を実現してきた。EXでは、「顧客の環境対応ニーズに応える」(藤良社長)ことを念頭に、工事現場におけるカーボンニュートラル実現に向け、バイオディーゼル燃料の利用促進や建設機械レンタルに伴うCO2排出量を実質ゼロにする「カーボン・オフセット付きレンタル」などの取り組みに尽力している。

 そして業務効率化はデジタル技術を最大限活用して内部オペレーションの構造改革を行う。

レンタルを通じてDXとEXを推進し「持続可能な循環型社会」を実現レンタルのニッケンは黎明期から顧客が必要とする商品を自社で開発。その代表が線路と道路を自在に走行できる鉄道用ダンプや、車幅内で旋回ができるコーヒーカップ式バックホー(写真)だ

 これまでの藤良社長の言葉から伝わるように、同社には創業以来の徹底した顧客第一主義が浸透し、顧客が必要としているがメーカーでは造っていないものを「有料ボランティア精神」で自社開発している。しかしながら、世の中が急速に変化している中で自前主義にこだわると顧客の“困った”の解決に時間がかかってしまう。そこで藤良社長はパートナーシップを重視。「当社にない知恵は、パートナーの会社さんの知恵を借りて開発速度を速めたい」。

 成長戦略としては海外展開に注力。「まずはASEAN最大の市場・インドネシアにリソースを投入しています」。海外展開は三菱商事のグローバルネットワークを活用できる点が強みだ。