いつか住んでみたかった憧れの地域で、ビジネスパーソンとして身に付けた能力やアイデアを生かしながら暮らす――そんな夢のようなプランが実現する仕組みがある。総務省が整備し、自治体が実施主体となる「地域おこし協力隊」だ。

50代から始める、移住を充実させる「地域おこし協力隊」という選択スキルと経験を生かして自然の中で暮らすという夢を「地域おこし協力隊」で実現する

協力隊の活動は無償のボランティアではない

「地域おこし協力隊」は、三大都市圏(東京圏、大阪圏、名古屋圏)をはじめとした都市地域から過疎地域のような条件不利地域へ移住(住民票を異動)し、地域住民と力を合わせて地域の活性化を推進する、社会貢献性の高い仕事だ。

「協力隊員の皆さんは、地域に居住(住民票を異動)して、外部の視点を生かした地域産品の開発・販売、地域に関する情報発信、人手が不足している農林水産業への従事、住民の生活支援などの地域協力活動を行います」と話すのは総務省地域自立応援課の藤岡茉耶課長補佐。

 活動期間は1年から3年。地域おこしを手伝うボランティアではなく、主体的に動くプレーヤーとなることが期待されているため、協力隊員には1人当たり年間320万円を上限とする報償費などが支給される。その他に経費として上限200万円が活用できる。つまり、移住を検討する応募者側からすれば、「一定の収入が保証された状態から始めて、完全移住を目指すことができる仕組みです」(藤岡課長補佐)。

50代から始める、移住を充実させる「地域おこし協力隊」という選択総務省 地域力創造グループ 地域自立応援課
藤岡茉耶 課長補佐

 また、会計年度任用職員(パートタイム)や業務委託も多いことから、収入が保証された任期の間に人脈を広げたり、生活環境を整えたり、新しい仕事や起業の準備を進めることができる。取り組みは全国に広がっており、2023年度時点の取り組み自治体数は1164団体、隊員数は7200人(男女比はおよそ6対4)に上る。

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