1912年にホーローのパイオニアとして創業。独自素材「高品位ホーロー」を使った水回りの製品を展開、キッチン領域では業界トップクラスを誇る。近年は“逆境に強い会社”としてリフォーム分野に注力。2024年4月に新社長が就任し「変革への再挑戦」に取り組む。

高品位ホーローを武器にして、水回りナンバーワン企業を目指す小森 大(​こもり・まさる)
タカラスタンダード 社長
1970年生まれ。長崎県出身。大分大学経済学部経営学科卒業。1994年入社。2019年4月東京支社長。人財の投入や組織の再編、マンションリフォームに特化した取り組みで、東京エリアの売り上げ拡大に寄与した。執行役員、常務執行役員、取締役を経て、2024年4月代表取締役社長に就任。座右の銘は「忠恕の精神」。

――貴社は新築住宅着工戸数の減少という厳しい環境下においても、売上高を拡大されています。その理由を教えてください。

小森 確かに新設住宅の着工数は、ここ20年ほどで大きく減少しています。その中で当社は、2002年度の1433億円から23年度の2347億円と、大きく売り上げを伸ばしました。02年度比164%となる成長です。製品部門別の売上高の構成比では、キッチンが60.4%、浴室23.5%、洗面化粧台11.7%と続きます。市場別では、新築戸建てが30%、新築集合住宅が32.5%、リフォームが32.7%とバランスが取れた構成になっています。特に新築マンションへのキッチンの納入シェアは約8割を誇ります。

 成長の理由は、営業力や提案力、開発や工場におけるモノづくりへのこだわり、安定した設備投資を可能にする財務体質の良さなど、さまざまな要因がありますが、やはり「ホーロー」という当社独自の素材の強みがあり、それを使用した製品の魅力があると思います。

 近年は、成長を続けるリフォーム市場での売り上げが拡大しており、23年8月販売のシステムキッチン「レミュー」や、洗面化粧台「エリーナ」をはじめ、22年8月発売のシステムバス「グランスパ」も引き続き拡販が進み、売上高に貢献しています。

進化する「高品位ホーロー」で
性能とデザインを両立

――強みである「高品位ホーロー」とはどのような素材なのでしょうか?