今後CEで取り組むべき
2つのフェーズ

鈴木:猪股さんとの対話を通じて考えを整理した結果、今後やるべき取り組みが見えてきています。1つ目のフェーズは、私たちのつくっている商品の調達戦略にCEの機能を実装していくことです。ペットボトルやアルミ缶などすでに循環している資源については見通しが立ちやすいですが、いま社会問題になっている製品プラスチックなど、循環ルートを確立できていないものはほかにもたくさんあります。私たちは商品を販売している以上、販売量以上のプラスチックを回収して、その再資源化につなげていかなければならない。現在、衣料や雑貨品などいろいろな品目拡大も視野に入れて、取り組みを拡大しているところです。

 次のフェーズは、どのように地域と連携をしていくかです。イオンが担えるのがどの部分で、連携することでどういう効果を発揮できるのか。お客様や地域と一緒に価値観を醸成し、CEの基盤を盤石にしたいと考えています。

猪股:イオンさんは個人株主が非常に多い企業です。そういう共感者、お客様、従業員が主役になり、地域行政がサポーターとして入るなど、自然とCEの機運が高まるような細かい仕掛けを提供できれば、うまく回っていくのではないかと思います。

鈴木:またCE推進において、リデュースやリユースの位置付けも重要と考えています。イオンでは、繰り返し容器を使い続ける容器リユースプログラム「Loop」に参画し、いまでは約100店舗で扱っていますが、これもCEの機運を高める一つと考えています。リサイクルありきではなく、使い捨てから循環型のライフスタイルをイオンがどこまでお客様にご提案できるか。CO2削減の観点からも、大きな貢献につながると思います。

猪股:回収されたプラスチックがその後どうなったかが見える化できれば、お客様も当事者意識が高まるため、従業員も含めていかに多くの人を巻き込んでいけるかが大切です。この動きは今後、ますます加速していくことでしょう。

鈴木:ドラッグストアのウエルシアなど、お客様の生活動線上にある回収拠点を順次拡大しているので、今後リサイクル量も増加していくと見込んでいます。地域のゴミ回収の負担が減って、お客様も家庭で出すゴミの量が減ります。それを経済合理性のある形で循環できる一つのモデルとして、私たちイオンが取り組みを率先していきたいと考えています。

猪股:自治体で移住やUターンを促進する時に「関係人口」(定住人口や観光などの交流人口と異なる、地域と多様な形で関わる人々)を増やすことが評価指標になることがよくあります。

 CEも同様に、関係人口を増やすことが大事です。関係する企業やパートナーシップ企業を増やすだけでなく、その活動に関係している個人を増やしていく。来店者だけでなく、ネットで買われる方も店舗を訪れた際に回収などのプログラムに参加することになるかもしれません。そうした関わり合いをする人たちも巻き込むことが重要です。

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企画・制作|ダイヤモンドクォータリー編集部
構成・まとめ|大橋史彦 撮影|福岡諒嗣(GEKKO)