一つのサービスを意匠権や商標権で多面的に保護
特許庁 審査第一部 情報・交通意匠 伊藤翔子 審査官(右)
伊藤 LINEヤフーの代表的なプロダクトとして、「Yahoo!乗換案内」や「Yahoo!天気」アプリのUIがありますが、誰に説明されたわけでなくても、ユーザーが自然に使えるUIですね。
高部 例えば、電車の乗換検索アプリ「Yahoo!乗換案内」では、ユーザーはルートだけでなく、自分が電車に乗るときに電車や駅の混雑具合も知りたいはずです。それに応えたのが「異常混雑予報」です。「Yahoo!乗換案内」の検索データを基に、混雑度を3段階のアイコンで表示し、当日から5日分までの予報を10分単位で表示しています。デザイン上、工夫したところは、何時にどれくらい混むのかがぱっと見で分かることを意識した点です。デザインは意匠権、名称は商標権、情報処理は特許権でというように一つのサービスを多面的な方法で保護しています。
神谷 知財ミックス(複数の知財権を組み合わせて製品やサービスを保護すること)を実践した例ですね。
高部 知財ミックスの考え方は大事にしています。LINEヤフーのプロダクトを意匠権や商標権、特許権で多面的に保護することで、ユーザーの皆さまに安心安全に使っていただきたいと考えています。
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神谷 混雑表示を縦に三つのタイルを積んで表現されているところがユニークだと思いました。このデザインにした理由を教えてください。
町田 タイルの形にしたのは、混雑の度合いをレベルでお伝えしたいからです。シンプルに二つのタイルでもいいのではないかという声もあったのですが、社内検証やユーザーのフィードバックなどから、二つのタイルよりも三つのタイルの方が時系列で見た際の混雑の増加、減少がより直観的に理解しやすいということが分かりました。
神谷 色を変えて混雑度を表すのではなく、オレンジ色の1色にしてタイルの数で表しているのはなぜですか。
町田 アクセシビリティーという考え方に基づいて、色覚多様性のある人にとっても分かりやすいデザインにしました。背景に対するコントラスト比などは保たれていると思います。