ディープシークは中国ではいち早くAIの新技術を導入した。コンピューターが市場価格だけでなく多種多様なデータを吸収し、有意なパターンを導き出せるようにした。

 数ミリ秒を争う高頻度取引業者とは異なり、梁氏らはより長期間ポジションを維持する中頻度の取引に重点を置く。

 梁氏はシモンズ氏からヒントを得た。数学者でクオンツ手法のパイオニアだったシモンズ氏は、米ロングアイランドでヘッジファンド「ルネサンス・テクノロジーズ」を創業し、1980年代に機械学習技術を採り入れた。

 シモンズ氏らのチームに関する書籍『The Man Who Solved the Market』の中国語版には、梁氏が書いた序文が添えられている。「仕事で困難にぶつかるたびに、シモンズ氏の次の言葉を思い出す:『価格をモデル化する方法があるはずだ』」

 金融データ会社の私募排排網によると、ハイフライヤーが運用した少なくとも5本のファンドは、直近5年間のリターンが市場の指標を平均で20%超上回った。

 常に順風満帆だったわけではない。21年にハイフライヤーは、市場のどのセクターが好調になるかを読み違えたとして、投資家に成績不振を謝罪した。24年には中国の金融規制当局が、群集行動をあおってボラティリティーを増幅させたとして、クオンツ投資に監視の目を向けた。

 テック業界幹部で元ヘッジファンドマネジャーのリチャード・デューイ氏は、少ない人員と少ない資金、少ないチップでより多くのことを行うディープシークのAI開発戦略について、クオンツ取引業者を想起させると話す。

 「(ディープシークは)比較的少ないデータから多くのシグナルを引き出すことに重点を置いているようだ。クオンツ取引で求められることと考え方は似ている」とデューイ氏は述べた。

 他のクオンツ業者のように、梁氏もトレーダーではなくエンジニアとして見られたがっている。同氏に近い人物はそう話す。ディープシークはコメント要請に応じていない。

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