キーワードは「財政ファイナンス」
キーワードは「財政ファイナンス」。日銀マネーの大量流入は、銀行が保有する国債を日銀が買い上げた対価である。国債を吸い上げられた銀行には、国債を買う余力ができる。政府-銀行-日銀という連鎖で国債は、市場を媒介に日銀に集まる。黒田総裁は「発行される国債の7割は日銀が引き受けることになる」と言っている。
政権をとる前のことだが安倍首相は「日銀が輪転機をじゃんじゃん回し、お札を刷って国債を引き受けてもらう。そのおカネで公共事業をしてデフレからの脱却を果たす」と訴えた。
日銀がお札を刷って財政をファイナンスする。戦時中のように政府発行の国債を日銀が直接引き受けることはしていない。だが市場を通じて借金を肩代わりするなら、同じことである。
いわゆる「日銀の国債引き受け」と、いま行われている景気刺激、デフレ脱却のためのオペ(公開市場操作)が別物だとすれば、「財政節度が守られているか」にかかっている。財政に歯止めさえ掛かっていれば、日銀は大胆な緩和をつづけることができる。
その歯止めが安倍政権で怪しくなった。消費増税の先送りは象徴である。
水と油の寄り合い所帯
参議院選挙後に始まりそうな党内抗争に話を進める前に、安倍政権の経済運営の構造を吟味しよう。
実務は霞ヶ関が仕切る。マクロ政策は財務省、成長戦略や産業政策は経済産業省が軸になっている。だがアベノミクスの金融緩和は官僚主導ではなく、政治主導だった。自民党が政権から離れていたころ安倍首相の下に集まった新自由主義・リフレ派の学者らが吹き込んだ政策である。浜田宏一イェール大名誉教授、本田悦朗静岡大学教授、竹中平蔵慶大教授などは安倍側近として政策を進言する。



