「正社員中心」を
徹底した人事戦略
成長の要因は、介護業界にはなかったビジネスマインドを徹底的に浸透させたこと、ITシステムで業務効率を飛躍的に高めたこと、そして新卒社員を積極的に採用し体系的なマネジメント教育を行ったことにある。
ITシステム面では、煩雑な業務フローを解消するため、19年に「Caregate(ケアゲイト)」という自社アプリを開発。スマートフォンで入力した訪問介護記録が請求データに自動連動する仕組みを整えた。これにより、各拠点に事務員を配置せずとも運営が可能となり、全国250拠点を本部の事務スタッフ20人程度で支えられるようになった。
人材戦略においては、創業時から「正社員中心」を徹底。正社員は研修に必ず参加でき、また責任感も強いので、サービス品質の向上につながる。結果として同社の正社員比率は約95%と、業界平均を大きく上回っている。
若手が活躍できる
「社員ファーストな環境」
同社が誇るのは「社員ファーストな環境」だ。介護業界で一般的だった夜勤はなく、営業時間は8~19時のシフト制を採用。労務管理をIT化したことで作業効率が高まり、残業時間は大幅に削減された。新卒4~7年目の平均年収は役職者で592万円、非役職者で452万円と、業界平均を上回る水準を維持。さらに、新卒出身の管理職比率は57.7%に達し、若手が活躍できる土壌が築かれている。
キャリアパスは大きく福祉領域とマネジメント領域に分かれる。新卒社員はまず現場のケアスタッフとしてスタートし、福祉領域ではサービス提供責任者(品質向上リーダー)→ケアマネージャー、マネジメント領域では管理責任者→エリアマネージャー→ブロックマネージャーと、それぞれ昇格していく仕組みだ。
ケアリッツ・アンド・パートナーズ太原有理(たはらゆうり) 取締役
研修制度にも注力している。同社太原有理(たはらゆうり)取締役は次のように説明する。
「研修は役職ごとに詳細に設計しています。知識を身に付けたつもりで終わらないよう、試験に合格すれば給与レンジが上がる仕組みを導入しました。昇格試験をクリアすれば年功序列にかかわらず昇進可能で、介護福祉士資格に向けた研修を提供するなど、資格取得支援も充実しています。研修と昇格試験をセットにしていることで、社員は研修と試験を通じて自身の成長を可視化できるのです」
