「近年、長野でも首都圏でも大型の工場や多目的アリーナのような工期の長い大規模案件が増えています。技術的な難度は高いのですが、地域への貢献度も高い。これからも、できるだけ地域が元気になるような付加価値の高い仕事に挑戦していきたいと考えています」(北野社長)

 オリンピック選手を多数輩出してきた名門スキー部の運営や伝統芸能の振興など、地域貢献活動にも積極的だ。

「人」を基軸に
働きやすさが進化中!

 そんな同社が今、創業80周年(26年)の節目に向けて、特に力を注いでいるのが「人財投資」だ。

「建設の仕事は人が全て。そんな考えの下、誰もが活躍できる環境づくりに全力を尽くしています。年功序列は10年前に廃止し、評価制度も段階的に改革。個人の成長目標と会社が目指す姿を擦り合わせ、年齢や勤続年数にかかわらず実力をしっかり評価できる形に進化させました」と北野社長。技術系・事務系問わず、全ての職種に「エキスパート職」を設け、独自の昇進・評価ルートを設定し、社員のモチベーション向上を図っている。「管理職を希望しない社員も、熟練度や貢献度に応じて待遇が上がり、専門性を磨き続けることができます。25年には定年を70歳に延長。好きなだけ働けるようになり、若手のロールモデルになる存在も増えました」。

 DX(デジタルトランスフォーメーション)による働きやすい環境づくりも進む。工事の進捗をきめ細かく共有するシステムの導入で協力会社との連携がスムーズになったほか、AI自動化ツールで事務作業の負担が大幅に軽減。女性技術職の声を生かしたワークウェアの導入など、働きやすさを高める工夫が取り入れられている。

 これら一連の人事・働き方改革は、北野社長自らがリーダーシップを取って推進してきた。

「建設業界の新3K(給与・休暇・希望)を高いレベルで実現するために、数年前から『社員への10の約束』を掲げ、進捗を社内に報告し続けてきました。現場の完全週休2日制など、まだ100%実現し切れていない課題もありますが、着実にバージョンアップを重ねています」