人材育成は「学び」の他に
「現場感」の研修も

 営業の現場では、若手に積極的にチャンスを与える文化が根付いている。担当先から難題が持ち込まれることも多いが、対応の速さや質が信頼を生む。「若手ですから、もちろん失敗はありますが、どうリカバリーしたかで取引先からの評価は変わります。クレームでも逃げずに誠意を持って対応することで、むしろ信頼が増すことの方が多い」と、若手には挑戦を促す。

 三根部長は、人を育てる仕組みにも自信を見せる。社内には“企業内大学(HKBS)”と呼ばれる教育体系があり、経営や財務、マーケティングなどの基礎から、リスクマネジメントや阪和の歴史、現場に生かせる実務まで幅広く学べる。さらに、希望者には社内の面接などを経てMBA取得のため進学を支援する制度も用意している。

 座学だけではない。半年など期間限定で海外の現地法人に派遣し、さまざまな経験をする「海外トレーニー制度」もあり、単に語学を磨くだけでなく、文化・商習慣の違いを肌で感じ取れる機会になっている。「海外での経験は、その後の営業の引き出しを大きく広げますし、新しい商機を発見するきっかけにもなります」(三根部長)。制度の活用は任意だが、「やってみたい」と手を挙げる人には、確かな機会が用意されている。

「ユーザー系商社」の強みを生かして成長。引き続き海外事業に注力

 24年4月には新しい人事制度を導入。責任と役割、個々のパフォーマンスを適正に評価し、挑戦と成果に報いるメリハリのある報酬制度を導入することで、社員が同社でやりがいを強く感じることができる内容とした。また、2年連続で新卒総合職の初任給の引き上げも行われた。