伝統芸能化する新聞と本
言ってしまえば、「必要最低限の社会適応装置」に新聞や本は含まれないのが、令和の日本だ。だとすれば、新聞や本は今後どういう存在になっていくのか。
稲田豊史『本を読めなくなった人たち~コスパとテキストメディアをめぐる現在形』(中公新書ラクレ)
ひとつ考えられるのは「歌舞伎化」である。
歌舞伎は、江戸期には町人中心の大衆娯楽だったが、明治期以降に伝統芸術化が進み、国家文化財的に扱われるようになり、中上層寄りの文化へと変貌した。現在、歌舞伎ファンの中心層と考えられるのは、比較的可処分所得が高めの年配者である。誤解を恐れず言うなら、大衆娯楽というよりは、もう少し限られた人が愉しむ趣味と化した。
いずれ新聞も本も、時間的、経済的に余裕のある年配者が「教養」を携えながら「文化」を志向する、限られた人の趣味と化してしまうのだろうか。そうなれば当然ながら、市場は極限まで小さくなる。本を書き、できるだけ多くの人に買ってもらうことで生計を立てている筆者にとっては、気が重くなる未来でしかない。








