PART 2 エネルギーを蓄える
スマートグリッドにスマートハウス、スマートマンションなどが注目を集めている。さらに、都市災害など、イザという時の停電への対応、事業継続の備えとして、また、電力使用の平準化にも貢献する蓄電池に関心が高まっている。その最新の動きを追った。
電池工業会の統計によれば、2012年の国内の電池生産総数は38.2億個、総生産額は7283億円に上る(グラフ参照)。このうち、生産数では38%の二次電池が、金額ベースでは90%を占めており、充電することで繰り返し使用できる二次電池が、市場の要になっていることが分かる。
次世代の主役は
リチウムイオン電池
二次電池の中で、個数でも金額でも首位を行くのがリチウムイオン電池だ。リチウムイオン電池とは、電池の正極(+極)と負極(−極)の間を、リチウムイオンが移動することで充電や放電を行う二次電池のこと。
メリットとしては、エネルギー密度が高く高電圧を得られること、使い切らずに充電しても充電容量が減りにくいこと、使用せずに放っておいても容量が減りにくいこと(自己放電量が少ない)、急速充電が可能なことなどが挙げられる。
そのため、繰り返し使用したり、継ぎ足しの充電を頻繁に行ったりするような製品や用途に向く。現在、小型のリチウムイオン電池はノートパソコンや携帯電話の電源(バッテリー)として普及している。また大型のリチウムイオン電池が、電気自動車や航空機のバッテリー、家庭や産業向けの蓄電池として、存在感を増しつつある。
一方、リチウムイオン電池には問題点もないわけではない。一つは、現状ではコストが高く製品価格が高価になりがちなこと。もう一つは、過度な充電や放電が行われた際に電極が不安定になるなどして、発熱や発火の恐れがあることだ。
特に、発火といった安全面での課題克服は喫緊の課題と同時に、車両や航空機、家庭やオフィスへの本格普及を考えた時、大きなテーマとなってくる。