CPOがデータセンターの性能を向上へ
大企業からベンチャーまで注目6社も紹介
あらためて光電融合CPOの基本を押さえておこう。
足元の先端技術である「プラガブル光モジュール」が電気信号を介して基板外の光モジュールと接続するのに対し、CPOはチップのすぐそばに光コンポーネントを配置することで、チップ間の電力配線距離を大幅に短縮できる。
プラガブル光モジュールは電気信号を光信号に、光信号を電気信号に変換する役割を担う。これによりデータセンターや通信システムで大容量データを高速かつ効率的に伝送できる。
ただ、チップと光モジュールは数十センチメートル離れており、これを電気配線で接続している。光信号と電気信号を変換するのは、今まではこの方式の方が処理をしやすかったからだ。
一方、光電融合CPOはチップ基板上に光モジュールを配置することで、電気配線が必要なくなり(あるいは配線が短くなり)、次世代ネットワークにおける消費電力を低減できる。帯域幅、コストといった課題にも対応でき、データセンターの性能をより向上させることにもつながる。
光を活用することで省電力が可能になるのは、光が電気とは根本的に異なる特性を有している点にある。電気配線は、大容量データを伝送するために高周波数帯を利用すると消費電力が増加する。一方、光は伝送距離が伸びたり、通信速度が上がっても、消費電力に大きな変化はない。
繰り返しになるが、CPOは電気配線の区間を可能な限り光に置き換え、データセンターやネットワークなどのICTインフラの高性能化・省電力化を図る新時代の技術なのだ。
すでに米IT大手も動いている。
先端半導体大手のエヌビディアは26年3月2日に、レーザー光源などを手掛ける米コヒレントと米ルメンタム・ホールディングスに出資すると発表した。20億ドル(約3100億円)ずつを出資する。エヌビディアは両社とCPOの光電融合技術で協業しており、出資によりCPO向け部品の調達を安定化させる。
米半導体大手のブロードコムもCPOに注力している。ブロードコムは現時点でも光部品を扱っており、優位性があるとされる。また、マーベル・テクノロジーもCPOの商用展開を開拓している。
日本ではNTTが「IOWN(アイオン:Innovative Optical and Wireless Network)」で光電融合を進めている。電気信号への変換を極力行わずにエンド・ツー・エンドで光化する「IOWN APN(オールフォトニクス・ネットワーク)」がそれで、データセンター間やサーバー間を光で接続する「IOWN1.0」が商用化され、エンタメや放送領域で活用され始めている。今後も技術の進展が見込まれている。
果たして光電融合はゲームチェンジャーになるのか。現状では課題も少なくないが、大企業からベンチャーまで、光電融合の部品、計測器などを開発する6社をピックアップしておく。
NTT(9432)
IOWNの中核技術であるAPNは、端末からネットワークの全てに光(フォトニクス)ベースの技術を導入することで、圧倒的な低消費電力、高速大容量、低遅延の伝送を実現。23年3月からNTT東日本、NTT西日本が「IOWN1.0」の商用サービスを開始している。光信号を電気信号に変換することなく、光波長のまま伝送し、従来のサービスに比べて200分の1の「低遅延」を実現している。今後は光電融合技術を用いてボード間を接続する「IOWN2.0」、パッケージ間を接続する「IOWN3.0」、最終的にはダイ(チップ)間接続(パッケージ内接続)の「IOWN4.0」まで順次進める計画となっている。電力効率100倍という「低消費電力」、伝送容量125倍という「大容量・高品質」の実現を目指す。4.0は32年ごろの実用化を予定。
QDレーザ(6613)
独自の量子ドットレーザー技術を応用したデバイスを開発、販売している。量子ドットレーザーによって、これまで困難とされた光電融合デバイスへの光源内蔵が可能になるとみられている。同社はCPO製品への納入を目指しており、発光に使う量子ドットの形成ノウハウに強みがある。報道によれば、数年後の量産化を見据えている。
santec Holdings(6777)
光ネットワークなどに組み込まれる光部品と、光通信や光デバイスの評価・監査に使われる光測定器が収益の2本柱。AIデータセンターなど光電融合が進むと、光部品や測定機需要が拡大する。26年1月にCPO向けに光出力を向上させた波長可変光源を発表している。CPOでは複数の導波路へ光を分岐させる必要があるため、挿入損失が大きく、デバイス評価には高出力波長可変光源の需要が高まっているという。
第3四半期時点で通期の業績予想を上方修正。26年3月期の営業利益は前年比25%増の93億円を見込む。光通信用測定器の販売が想定以上だという。
精工技研(6834)
光関連の通信部品や光接続部品などを展開。光通信ネットワークの高速・大容量化を支える高精度な技術・製品を提供している。第2四半期の決算説明資料によると、米中データセンター向け光部品の受注が増加。光コネクタや流れる光のロスを低減する光コネクタ研磨機の製造能力を拡大している。また、IOWN構想の軸となる光電融合を可能にする光デバイスの開発を行っている。
オキサイド(6521)
光部品、レーザー光源、光計測装置などを開発するメーカー。26年2月に台湾のレーザー微細加工装置メーカーBolite(ボライト)社との業務提携を発表している。半導体後工程向けレーザー加工装置事業の取り組みを本格化させる。発表資料には「光電融合に代表される次世代デバイス向け加工ソリューション」の事業化が含まれている。
古河電気工業(5801)
通信向け光ケーブルなどに強み。次世代データセンターを支える光電融合技術に注力している。CPO導入ではスイッチASIC(特定用途向け集積回路)の近傍は高温になるため、光源をCPOから離し、フロントパネルに配置する外部光源が求められるという。同社では高出力化合物半導体レーザと光パッケージングの技術を生かし、光トランシーバを用いて、世界で初めて外部光源の開発に成功した。
Key Visual by Noriyo Shinoda, Kanako Onda



