「評判がいいから」「値段が高いから」。そんな理由で、ものの価値を判断していませんか? 本当に価値あるものを見抜く力は、いったいどうすれば身につくのでしょうか。「批評の神様」と呼ばれた小林秀雄は、文学や芸術だけでなく、私生活でも驚くほどのこだわりを持っていました。書籍『ビジネスエリートのための 教養としての文豪』の著者が、小林の意外な素顔から、一流の「見る目」を養う秘訣を解説します。
イラスト:塩井浩平
東京生まれ。東京帝国大学文学部仏文科卒。代表作は『様々なる意匠』『無常といふ事』『モオツァルト』など。近代日本文学の発展に大きく貢献した文芸評論家。日本ダイヤモンド株式会社を設立した技術者・小林豊造の長男として生まれる。父がヨーロッパ土産で買ってきたレコードなどの影響で、学生時代から音楽が好きだった。昭和4(1929)年、総合雑誌『改造』の懸賞評論に応募した『様々なる意匠』が入選。これを皮切りに、文学のみならず、絵画や音楽、骨董品などさまざまな対象を評論した。その功績により昭和42(1967)年、文化勲章を受章。昭和58(1983)年に肺炎により81歳で死去。
「本物を見抜ける人」が仕事以外でも欠かさないこと
「評判がいいから」「高級ブランドだから」。そんな理由だけで、商品を選んでいませんか?
他人の評価を集めるだけでは、自分自身の「見る目」はなかなか育ちません。本当に価値あるものを見極める力は、どうすれば磨けるのでしょうか。
ヒントは、「批評の神様」と呼ばれた文芸評論家・小林秀雄の私生活にあります。
「批評の神様」は食卓でも妥協しなかった?
小林は文学だけでなく、絵画や音楽、骨董など幅広い分野を論じました。しかし、そのこだわりは仕事だけにとどまりませんでした。
――『ビジネスエリートのための 教養としての文豪』より
名画や文学作品と同じように、毎日の食事や酒にも自分の感覚を働かせていたのです。
酒の飲み方に表れた、徹底ぶり
――『ビジネスエリートのための 教養としての文豪』より
小林を担当した編集者・池田雅延氏の回想によると、小林は日本酒を必ず燗にして飲み、他人に酌をしてもらわず手酌を好んだそうです。徳利の重みや盃の感触まで大切にしていたといいます。
――『ビジネスエリートのための 教養としての文豪』より
器も、長く使われてきた古い徳利や盃を愛用。単に高価なものを集めるのではなく、味や手触り、飲む時間まで含めて楽しんでいたのです。
「見る目」を育てる、身近な方法とは?
ここから学べるのは、目利き力を磨くには「日常の小さな違いに注意を向ける」ことが大切だということです。
たとえば、いつものコーヒーでも香りや温度、カップの口当たりを意識してみる。気に入った商品を選んだら、「なぜ好きなのか」を一言で説明してみる。
大切なのは値段や知名度に頼らず、自分の感覚で比べ、判断する習慣です。
「本物を見抜ける人」が仕事以外でも欠かさないこと・ベスト1は、日常のものを漫然と選ばず、五感で確かめること。その積み重ねが、仕事で人や商品、企画の価値を見極めるときにも役立つはずです。





