その場で男性ホルモン注射
フリーテストステロンを増やせ!

 それにしてもなぜ、西沢さんはこれほどフリーテストステロン値が低くなってしまったのか。

「2D:4D比が低い(人差し指と薬指の長さがほぼ同じ)ことから、西沢さんは、もともと男性ホルモンが多くないタイプと推測されます。また、運動不足、睡眠不足、飲酒、精神的なストレスや環境の変化などもあり、男性ホルモンの低下に関係があるようです。生活が不規則なマスコミ関係の人には、男性更年期が多いんですよ」(久末医師)

 男性ホルモンは睡眠中につくられる。睡眠不足や運動不足が続けば、男性ホルモンが低下する。男性ホルモンが低下することで、疲れやすくなり、運動する気が起きなくなり、眠りも浅くなる……まさに負のスパイラルにはまってしまったのだ。

男性ホルモン量を引き上げるためのテストステロン注射。まさか今日も注射とは……

 そこで久末医師が勧めたのは、一度負のスパイラルを断ち切ること。まず、注射で男性ホルモンの量を大幅に上昇させる。その後、塗り薬を継続的に塗って男性ホルモンの継続的な分泌をうながすという治療方法だ。

「一度身体の調子を上げ、男性ホルモンを活性化させたところで、運動量を増やすようにしましょう。また、タマネギやニンニク、ニラなどの『アリシン』を多く含む食物を摂るようにしてください。餃子やレバニラ定食、焼き肉などのいわゆるスタミナ料理がいいですね。それからお酒はできるだけ控えて、十分な睡眠を取ってください」

 食事や睡眠、酒の量を減らすことは簡単にできそうだ。男性ホルモンの補充で効果があれば、運動する意欲も出てくるのかもしれない。注射を打つのはイヤだったが、「元気なスパイラルに乗る自分」を想像して、西沢さんは前向きな気分になった。今後は2、3週間ごとに来院して経過を見ていくそうだ。