日本通運のASEAN戦略
「日本型物流システムをスタンダード化する」

――欧米系物流には負けられない

ハラル認証取得へ

 マレーシア、インドネシア、バングラデシュ、さらに中近東・アフリカまで広がる大イスラム経済圏。ハラルとは「イスラム法に適合している」という意味であり、約16億人といわれるイスラム人口に支えられたハラル産業、それに関連する物流市場も巨大だ。

 マレーシア日本通運では昨年から「ハラル物流認証」の取得に向けた取り組みを開始し、今年中にも認証を取得する予定だ。取得すれば、日系物流企業で初めてとなる。豚肉やアルコールがタブーとされるイスラム法では、物流においても専用車両や専用倉庫を用意する必要がある。「これもひとつの先行投資だが、食品をはじめとするハラル産業の裾野は広い」と語る。

次期経営計画で国際関連収入が国内を逆転

 日通の2014年3月期の連結売上高は1兆7524億円で、このうち国際関連事業売上高は32・5%に相当する5692億円。現行の中期経営計画(3カ年)の最終年度に当たる16年3月期で、この比率を40%まで高めることが目標だが、中村氏は「達成は十分に可能」だと自信を見せる。

「伸びしろは当然、ASEANを中心としたアジア。さらにその次の経営計画では50%を目指すことになるだろう。その際には、ASEANでのさらなる成長に加えて、インドから西アジア、中近東、アフリカ東岸などの環インド洋経済圏を見据えた展開になる」と次のステップを見通す。

 興味深い数字がある。「国内約3万人、海外約2万人」という現在の日通グループ社員数の構成比だ。中村氏は「40%を達成した時点で、必然的に海外社員が国内社員の数を上回るだろう。50%となると、最低でも現在の倍の4万人の海外社員が必要になる」と語る。

 物流のグローバル化はここまで進んでいる。

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