「WILL・CAN・MUST」が共鳴する
企業と人材の幸福な出会いを求めて
──新卒採用の内容はどのようなものですか。
アルケア 人事総務部リーダー 森垣裕文氏 |
アルケア 人事総務部 有馬伸宏氏 |
例年だいたい15人程度を採用します。研究開発職や営業職などの職種別採用で、主に採用広告経由でエントリーを受け付けています。エントリーは約4500人、説明会に参加してくださる方が800人前後ですね。
選考は1〜3次まであり、1次選考は基本確認フェーズです。筆記テストの他、身だしなみ、あいさつ、話し方などごく基本的な部分を面接で確認します。2次面接は能力確認フェーズです。学生がどんな価値観を持っているか、それを社会に対してどのように発揮していこうとしているかを面接で掘り下げ、小論文も課しています。3次面接は役員による最終選考です。これが社風マッチングフェーズといえるかもしれません。
──選考の際、特に重視するポイントを教えてください。
志や目標を一つにして仕事をしてくださる方を迎えたいので、説明会では仕事内容はもちろんですが、私たちの事業に対してどんな価値観を持っているのかやどんな考え方で仕事をしているのかの説明に多くの時間を割きます。私たちの組織が、「何のために仕事をしているのか」「どこを目指しているか」という部分を丁寧に話すのです。
また、説明会の参加者全員を面接するのが当社の特色で、午前中に説明会、お昼を挟んで午後から1次選考を行っています。このうち1割ほどは面接を辞退しますが、恐らく説明会で「自分には合わない」と感じた層でしょう。フィルタリングが成功した結果と捉えています。
──求める人材像はどのようなものでしょうか。
医療の世界は、コツコツと成果を積み上げながら進化します。私たちも医療関連機器メーカーとして、努力の積み上げが苦にならない堅実志向、着実志向の人材を求めています。瞬発力より継続力。人を蹴落しても上を目指すなど自己利益志向の強い人や、利ざやで金を稼ぐことに価値を置いているような人は合いません。社員にアルケアの社風を聞くと「真面目」「誠実」「人に優しい」といった言葉が多く出てきます。このような社風に合うベースを持った人材を採用したいと考えています。
志望者全員と面接するのは手間と時間がかかるのですが、「全員を面接する」という姿勢そのものが当社の真面目さや信頼感を表現していると思いますし、「必ず面接してくれるから受けてみよう」と言う学生も居るので、今のところ当社に合った方法ではないかと考えています。
──社風でフィルターをかけるメリットはどこにあると思いますか。
限られた経営資源の中で目的を達成するためには、社員が同じ目標を共有し、パワーを集約した方がいい。そのために、当社では「ベストフィット」という考え方を大事にしています。会社の価値観やアイデンティティと、個人の価値感やアイデンティティが、完全に一致しなくても、重なり合う部分が大きい方が互いにハッピーになれるし、長く一緒に頑張っていけるのではないかと。
しかし、こちらが「アルケアに合う」と判断した学生が、必ずしもアルケアを第1志望にと考えてくれるわけではありません。ですから、いいと思った学生には、徹底的に当社の社風や事業の価値を説明して獲得に努めます。
会社にはそれぞれ「WILL(やりたいこと)・CAN(できること)・MUST(すべきこと)」がありますが、学生も自分の「WILL・CAN・MUST」を持っているはずです。自分の強みは何か、それを生かす場がこの会社にあるのか……。採用選考は、その対話の場なのです。仕事人生の40年以上にわたってやりがいを持って働けるかどうかは、結局、自分に合うかどうかにかかっています。そういう意味でも社風と人材のマッチングは本当に大切だと思います。