実績、規模ともに世界No.1の鉄道コンサルティング企業は、フランスの「シストラ」だ。フランス政府、フランス国鉄、銀行などが出資する半官半民の会社だ。フランスは保護経済の考え方が色濃い。シストラのコンサルティング報告書を見ると、フランス企業であるアルストムに有利な仕様になっているのは想像に難くない。
ドイツにもドイツ国鉄が出資している「DB International」というコンサルタント会社が存在する。実績ではシストラに劣るが、高速鉄道の国際競争の場で常に登場してくる。
日本にも、海外鉄道技術協力協会(JARTS)というコンサルタント組織が存在していたが、目立った実績を残せていなかった。今後主流となるフルパッケージ型案件の受注に大きな影響力を持つコンサルティング領域が、日本の鉄道業界の弱点であった。
「技術が良ければ受注できる」は間違い
日本にも戦略的アプローチが必要
そこで数年前、JR東日本、JR貨物、東京メトロ、東急などの鉄道運行会社が多数出資をして、「日本コンサルタンツ」(JIC)が設立された。従来のJRATSもこの組織に吸収された。各出資企業は保守、運営、営業、経営など鉄道に関する専門家も出向させており、かつてない強力なコンサルティング会社が日本に誕生した。ちなみに、インド高速鉄道案件の予備調査を受注しているのはこのJICだ。
鉄道は単体事業ではなく、ソリューション事業だ。技術が良ければ受注できるとは限らない。まだ、計画や構想を詰めている柔らかい状態で入り込み、入札時には有利な状況をつくり出すような戦略的アプローチが必要だ。この手の取り組みが日本企業は下手であったが、JICの設立が大きく寄与するであろう。
何よりも日本には、世界でも珍しい総合商社という組織が存在する。三井物産、三菱商事、住友商事などは、豊富な資金と幅広い事業展開で各国の要職と深い関係を構築している。三井物産の飯島社長が、プーチンと懇意なのは有名な話だ。最近は、鉄道事業の取りまとめ役として総合商社が加わるようになった。これで、最前線の戦闘能力が強化され、新幹線の売り込み力があがる。



