あるいは、主要産油国であるサウジアラビアが、米国のシェールオイル産出に対抗するため、減産を見送って価格を押し下げているとの見方もある。それらは、いずれもストーリーとしては面白いのだが、それに要するコストを考えると、あまり説得力はないと思う。
現在の世界の原油市場の構図を整理すると、まず欧州やわが国、さらには中国をはじめとする主要新興国の景気回復が遅れているため、原油に対する需要は当初の予想よりもやや下振れしている。
OPECやサウジのプレゼンス低下で
供給過剰の状況は変わらない?
一方供給サイドはと言うと、非OPEC(原油輸出国機構)国を中心に増産が顕著になっている。特に、米国のシェールオイルの大幅な産出拡大が目立っている。こうした状況を冷静に分析すると、供給が需要を上回る状況になっている。
また、サウジアラビアをはじめとするOPECは、原油価格の下落に歯止めをかけるために総会を開催したのだが、結果的に合意を形成することができなかった。ということは、当面供給超過が続くことになる。
世界の原油を巡る構図は明らかに変化している。1つの変化は、OPECが以前ほどの価格決定能力を持てなくなったことだ。ロシアや米国などのシェア上昇で、カルテル機能が大きく低下している。
もう1つは、かつての盟主であるサウジアラビアのプレゼンス低下だ。かつて同国は、原油市場の盟主としてプライスリーダーの役目を果たしてきた。しかし、アブドラ国王の高齢懸念や後継者などの国内問題に加えて、中東地域の紛争が大規模化していることもあり、盟主としての実力を果たす余裕が低下している。
盟主の力量が低下すると、どうしてもマーケットは不安定になり易い。それは原油だけに限ったことではない。



