“逆オイルショック”は大きな福音だが
日本にとってプラス面ばかりではない
原油価格が下がることは、多くのエネルギー資源を海外からの輸入に頼らざるを得ないわが国にとっては、大きな福音だ。国内の物価上昇のペースが、賃金上昇のそれを上回って消費が伸び悩んでいることを考えると、アベノミクスには神風と言ってよいだろう。
しかし、短期間に原油価格が大きく下落することは、世界経済にとって無視できない攪乱要因になる。まず、原油産出国には重大なマイナス要因として働く。すでにロシアの通貨であるルーブルは、過去半年間で約40%以上下落しており、今後輸出手取り代金の大幅減少により、国内経済が痛手を受けることは避けられない。
また、ベネズエラなどでは財政の悪化懸念が顕在化している。原油価格の下落によって、それ以外の商品市況が不安定化していることも見逃せない。こうしたマイナス要因によって、国際的なマネーフローが変化するはずだ。
たとえば、鉄鉱石などの有力な資源国であるブラジルは、国際的なマネーフローの変化によって自国通貨レアルが大きく売られた。それに対して、ブラジル中銀は政策金利の引き上げを行った。ブラジルは結果的に、景気が減速している状況下で金利を引き上げることを余儀なくされた。同国の経済は、さらに悪化することが懸念される。
“逆オイルショック”をきっかけに、ブラジルなど主要新興国の経済が減速すると、世界経済の足を引っ張る可能性が高い。欧州やわが国、さらには中国の経済回復が遅れている状況下で、ブラジルなどの新興国経済までもが減速すると、世界経済全体に“逆オイルショック”のマイナス効果が波及する可能性は高まる。
そうしたリスクを見越して、足もとでは株式や為替などの金融市場が不安定な展開になっている。それは、大手投資家がリスクオフに走っている証拠だろう。



