とはいえ金融業という性質上、業法やコンプライアンスの厳密性を無視することはできない。情報保全への対応は万全でなければならないが、壁で仕切ってグループ間のコミュニケーションを阻害することは避けたい。

 その答えが、物理的には遮断できるが視覚的には見通しのよい「ガラス張りの壁」だったというわけだ。セキュリティシステムとガラスの壁によってグループ間のエリアは仕切られているが、ひと目でオフィス全体を見通すことができ、アベニューに一歩踏み出せば社員同士が気軽に顔を合わせて会話ができる環境が整備できている。あとは研修などを通じてコンプライアンスの質を高めるという日常的な訓練によって、情報の機密性を保全することに十分成功しているという。

オフィス移転後、
業績の2ケタ増が続く

 こうしたオフィス戦略の成功も相まって、新生PIグループは移転後の1年半で業務粗利益を大幅に増加させている。新生銀行グループの一部署だった過去十数年の平均粗利益は年間120億円ほどだが、2013年度には約180億円を達成した。さらに不動産市況の改善という追い風を受けて、2014年度第3四半期には190億円を達成した。

 もちろん、それがオフィスだけの力というわけでは決してないが、「人がすべて」とも言える金融業界において、社員の生産性を高めた結果が業績に直結していることは疑いようもないだろう。

 企業の生産性を高めるという目的には様々なアプローチが考えられるが、新生PIでは社員に「見られる側」と「見る側」の両方の意識を持たせたことが、意識改革の大きな引き金となった。ルールで縛りつけるのではなく、環境の力でグループ社内における新しい「常識」を作ってしまったことが、成功の秘訣だったといえるのではないだろうか。

【OFFICE DATA】
新生プリンシパルインベストメンツ株式会社
●住所:東京都千代田区大手町1-9-7 大手町フィナンシャルシティ サウスタワー16階
●事業内容:第二種金融商品取引業。金銭債権の売買、金銭債権の管理、回収、有価証券の保有、運用、管理、売買等
■オフィスコンサルティング・構築:富士ビジネス株式会社
東京都中央区京橋3-1-1 東京スクエアガーデン8階
TEL:03-6214-1851 URL:https://www.fbco.co.jp/

 

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