とくに高齢になると、「心臓病で内科に通いながら、腰痛で整形外科にも通って、時には歯医者にもかかる」など、複数の病院や診療所から薬を処方されるケースも多い。そうしたとき、かかりつけの薬局を決めて一括管理してもらえば、それぞれの医療機関で出された処方せんの内容を薬剤師がチェックしてくれて、重複投与や相互作用よる健康被害を未然に防ぐことができる。
そもそも医師が処方した薬が間違っていることもあるため、患者にとって本当に有効で安全な薬なのかを、薬剤師の目でチェックできるのも医薬分業のメリットだ。
ただし、医療機関と薬局が馴れ合っていたり、力関係に問題があったりすると、忌憚なく医師の処方に薬剤師が意見できない可能性もある。両者はお互いに独立した関係であることが求められるため、医療機関と薬局が一体的な構造となって、一体的な経営を行うことが禁止されているのだ。
規制改革会議は、この建物構造上に設けられた要件が形骸化しており、患者の利便性を損なっていると主張。委員の多くから、「規制を撤廃して、医療機関の中に薬局をつくることを認めるべき」との意見が相次いだのだ。
現在、薬局と医療機関が公道を通らず、専用の通路で行き来できるような建物構造は禁止されている。そのため、実際には診療所のすぐ横に薬局を作ったのに、フェンスを立てて、わざわざ公道を通らないと薬局に行かれない作りになっていることがある。
また、大病院の前には、そこで出される処方せんをあてにした門前薬局がひしめいている。そうした薬局では、医師の処方せん通りに薬を揃えて患者に渡すだけで、ろくな服薬指導が行われていないこともある。すべての薬剤師が、その職能を発揮し、医療の質の向上に貢献しているとは言いがたい状況だ。
一方で、同じ薬を出してもらうにも、院内処方より院外処方のほうが患者負担は重い。たとえば、投薬にかかる患者の自己負担は、薬の内容が同じでも、院内処方は420円、院外処方は1840円と4倍近い開きがある(規制改革会議公開ディスカッション資料より=PDF)。
医薬分業のメリットを十分に感じられないなか、医療費に差が出る今の仕組みに国民が疑問を抱くのは当然のことで、規制改革会議の指摘は一理ある。
たしかに、フェンスを隔てて建物を構造上分離させるような無駄な規制は意味がないように思う。しかし、患者の利便性を追求して、病院内に薬局を作れるようにすれば、医薬分業の問題点は解決されるのだろうか。



