昨年11月、厚生労働省の専門部会がある発表を行った。一般用検査薬の拡大を検討してきたこの部会は、検体として従来の尿や便に加えて鼻汁、唾液、涙液などを認めることと、体への負担が大きい血液や喉のぬぐい液などは対象としないことを決めたという。
この決定は新たな検査薬の開発、導入につながる可能性があると見られている。業界団体が医療用から一般用への切り替えを求めている49品目のうち、排卵日検査薬や潜血検査薬など十数種類が審査対象になる見込みだ。これらはいずれも尿や便を検体とするもので、厚労省の審査を経て、早ければ今春にも一部の検査薬について店頭販売が始まる見通しである。
――とのニュースを聞いてもピンとこない人も多いかもしれない。まず、一般用検査薬とは、医療の専門家ではない一般消費者が自分の体調をチェックするための薬品のこと。現在市販されているのは3種類で、最も知られているのは妊娠検査薬だろう。他に尿糖検査薬、尿蛋白検査薬も市販されている。
一般用検査薬の拡大とは上記の3種類に加え、医療用検査薬として実績のある多くの薬が一般用として市販されるようになるということである。現在検討が進んでいる49品目すべてが認められるかどうかは不明だが、単純に考えれば検査薬の種類が増えるほど、家庭で気軽に健康状態をチェックできる疾患の数も増えることになる。
ちなみに49品目の中にはコレステロールや尿酸値を測るものも含まれていて、多忙なビジネスパーソンにとって体調チェックの一助となるだろう。トイレや浴室に数種類の検査薬を常備するのが当たり前の光景になるかもしれない。