ほとんど本を読まない人が増える一方で、読む人はもっぱらネットで買い求めるようになり、リアル書店の苦境が続く。カフェを併設したり、本だけでなく雑貨も取り扱ったり、あるいは図書館の運営にも乗り出したりと、様々な試みが行われているが、老舗の旭屋書店が本TUBEなるアプローチに打って出た。

活字離れではなく
進んでいるのは「書店離れ」

 極めて身近な存在だったはずの本とすっかり疎遠になってしまう人が増えてきており、雑誌、書籍とも1996年をピークに推定販売額が下落の一途を辿っている(公益社団法人出版科学研究所の調査)。

 かねて「活字離れが進んでいる」と指摘されてきたが、それよりもメディアの多様化の影響のほうが大きいだろう。ネットを見ればたいていの情報は得られ、エンターテインメントも楽しめる。

 ネット上やSNS上に飛び交っているのもしょせんは文字情報であり、「文章を読む」こと自体に辟易しているわけではなく、書店に置いてある本との距離が遠ざかってしまったのだ。

 又吉直樹氏の『火花』のようにベストセラーは生まれるものの、大いに話題を集めたごく一部の本が部数を伸ばすだけにとどまり、市場自体のシュリンクは止まらない。大半の作品はほとんど手に取られることなく、ついには返本されてそのまま日の目を見ない。