東京・大阪といった大都市からU/Iターンを考えた場合、まず、何を考えるだろう。ビジネスパーソンなら真っ先に「移住先に働き口があるのか」ということではないだろうか。地方へ行けば転職先の選択肢が限られそうだし、起業しようにも、マーケットの大きさが気になる。これらの懸念を解決するU/Iターン先を探すことが最優先だ。その上で、子育て支援、教育環境まで含めた生活環境の良い所を選ぶ。だが、そんな条件を満たすU/Iターン先の都市などあるのだろうか?

第3次産業が9割を占め、若者の数も増加している

 まずは、転職や起業の懸念を払しょくするという視点で各都市を見たとき、他の都市からの本社機能・成長分野の企業立地が、6年連続で50社を超え(2013~18年)、約1万2000人の雇用を生み※、かつ開業率が政令指定都市の中でトップである都市が見つかった。それが「福岡市」だ。

 企業立地が増えているということは、就職先の選択肢が多いということだ。しかもその多くはヤフー、ZOZOテクノロジーズ、GMOペイメントゲートウェイ、メルペイ、アクセンチュアなどのクリエーティブ企業や外資系企業だ。

 企業は、なぜ福岡市を選ぶのか。「豊富な人材、コンパクトに整ったビジネス環境、アジアとの近接性といった福岡市の魅力」を背景にした積極的な企業誘致活動が功を奏していると、同市・中村大志企業誘致係長は語る。

 豊富な人材は統計に表れている。人口増加数・増加率共に政令指定都市中で1位(「15年国勢調査」)、なかでも特徴的なのは10~20代の若者の人口比率も政令市中1位(同)といういうことだ。

【画像拡大】 出展:Fukuoka Facts

 活発な企業活動によって福岡市の人手不足は一段と強く、有効求人倍率は全国の1.57(19年11月)に対し、福岡エリアでは1.73倍と高い(19年11月)。気になる給料は平均して東京で得ていた額の約8割(情報通信業の平均賃金。「17年賃金構造基本統計調査」)程度だが、後述する生活編で触れるように、生活コストの低さで相殺できる可能性が高いため、生活水準を落とさなくても済みそうだ。有効求人倍率が高いということは、働き口としての企業の選択肢が多いということにつながる。

※福岡市が立地にかかわった企業等