GMARCH英語は「大学単位」ではなく「学部単位」で対策する
個別指導学院フリーステップが行う夏の一大イベント「関東14大学大研究」が、2026年7月19日に東京・池袋のワールドインポートマートビル サンシャインシティ会議室で行われた。
中でも、ひときわ多くの参加者でにぎわっていたのが「GMARCH英語入試問題完全攻略」の講演だ。GMARCHの英語の具体的な難易度が示され、どのように対策を進めればよいのかが解説された。
登壇したのは、フリーステップを運営する株式会社成学社 阿部裕氏だ。
関東の上位私立大学群であるGMARCHの英語入試は、基礎的な読解対策だけでは対応しきれない段階に入っているという。講演で最初に強調されたのが、「同じ大学でも、学部ごとに入試問題が異なる」という特徴だ。
大学によっては、どの学部でも同じような出題傾向となる場合がある。しかし、GMARCHでは同じ大学内であっても、学部によって出題形式や問題量が大きく変わる。
そのため、受験生は「大学単位」ではなく「学部単位」で対策を立てる必要がある。最初に取るべき行動は、志望学部の過去問を確認し、長文中心なのか、英作文が出題されるのかなど、出題形式を把握することだ。
また、立教大学のように独自の英語試験を実施せず、大学入学共通テストや英検などの外部検定を利用するケースもある。こうした入試方式の違いも含め、早い段階で志望学部の入試内容を確認しておきたい。
3,000語を読み切るための速度管理トレーニング
GMARCHの英語入試における最大の特徴は、英文の分量が多いことだ。
長文の総語数は、明治大学総合数理学部で約3,400語、青山学院大学経営学部で約5,000語、法政大学文学部で約4,900語となる。
比較すると、日本大学経済学部は約2,900語、専修大学の全学部入試は約2,600語、東洋大学の全学部入試は約2,300語だという。
3,000語は、問題冊子で約6ページに相当する。受験生は、この分量の英文を制限時間内に読み終えたうえで、設問にも解答しなければならない。
ここで鍵となるのが、1分間に読める英単語数を示す「WPM(Words Per Minute)」だ。
講演では、実際の問題文を読み上げる音声が流され、参加者は最低ラインとされる80WPM、標準的な100〜120WPM、上位レベルの150WPMの速度を耳で体験した。
80WPMと150WPMでは、英文を読む速度に約1.9倍の差がある。例えば100WPMの場合、3,000語を読むだけで約30分を要する計算だ。
そのため、受験生が最初に行うべきなのは、自分のWPMを測定し、目標とする読解速度との差を把握することだ。
問題を最後まで解き切れない原因には、「英文を読むのが遅い場合」と「設問を解くのに時間がかかっている場合」がある。自分がどちらのパターンに当てはまるのかを調べ、それぞれに合った対策をすることが大切だということが紹介された。
単なる感覚ではなく、数値に基づいて読解や解答の速度を改善することが求められる。
語彙は「単語帳1冊の完成」が最優先
語彙対策としてやるべきことは明確だ。講演では、「システム英単語」や「英単語ターゲット1900」といった標準的な単語帳を1冊、徹底的に仕上げることが勧められた。
GMARCHでは難関レベルや最難関レベルの単語も出題されるが、英文の大半は基礎から大学入学共通テストレベルの語彙で構成されている。
そのため、複数の単語帳に手を広げるよりも、1冊を「隅から隅まで」仕上げるほうが合理的だという。
また、見出し語だけでなく、派生語まで含めて覚える必要がある。単語帳に載っていない未知語については、文脈や接頭辞・語幹・接尾辞などの語構成から意味を推測する力も求められる。
単語帳に掲載された語彙を確実に覚えることと、知らない単語の意味を推測する力を身につけることの両立が重要だ。
英作文の有無によって対策は変わる
GMARCHの出題形式は、大学や学部によって大きく異なる。並べ替え問題の出題が目立つ学部もあれば、和文英訳や自由英作文が出題される学部もある。
講演では、日本語をもとに一から英文を作る問題や、80語以上で回答する自由英作文などの出題例が紹介された。
こうした問題は、読解力だけでは対応できない。英語で表現する力と、文章を論理的に組み立てる力が不可欠だ。
そのため、志望学部でどのような問題が出題されるのかを確認し、その形式に合わせて対策を行う必要がある。英作文が出題されるにもかかわらず準備をしていなければ、本番で対応できなくなる可能性が高い。
また、GMARCHの長文では、環境問題やAI、国際化など、現代的なテーマが頻繁に扱われる。
例えば「都市の騒音公害と健康への影響」がテーマなら環境問題に関する知識が、「AI言語モデルが人間の思考や創造性に与える影響」がテーマならAIに関する知識が、英文を理解する助けになる。
英語力だけでなく、時事問題をはじめとする幅広い知識や教養を身につけることも、長文読解の対策になる。
今回のイベントで配布された冊子「WAY TO GO!関東難関私大2026」は、約300ページにわたるボリュームで、GMARCHの入試問題や分析が掲載されている。
実際の入試問題に触れ、その難易度を体感できる内容だ。中には文章自体が抽象的で、日本語に訳しても理解が難しい問題もある。こうした英文に対応するには、単語を一つずつ訳すだけでなく、文章全体の論理構造を意識して読む力が求められる。
GMARCH英語対策に裏技はない
受験生が取り組むべき内容は明確だ。
第一に志望学部の出題形式を確認すること、第二にWPMを測定して目標との差を把握すること、第三に単語帳1冊を完成させること、第四に出題形式に応じた演習を行うこと、第五に頻出テーマを扱った英文に触れることだ。
今回の講演で示されたのは、特別な裏技ではない。「測る」「分析する」「合わせる」という基本的な対策を、どこまで徹底できるかが問われている。
GMARCHの英語は、努力の量だけでなく、学習する方向性の正確さが結果を左右する試験だと分かった。
イベントの参加者からは、「GMARCHの入試問題に実際に触れ、難易度が分かった」「だらだらと長い講演ではなく、コンパクトな時間の中に情報が凝縮されていてよかった」といった声が聞かれた。
明治大学・東洋大学・専修大学による講演のほか、大学の教職員や現役学生による個別相談コーナーもにぎわっていた。
立教大学の現役大学生による相談ブースでは、「英検は何級まで取得しておくべきか」という質問が多かったという。受験生や保護者の英語資格に対する関心の高さがうかがえる。
GMARCH英語対策で大切なのは、特別な裏技ではなく、正確な分析と徹底した基礎固めである。そのことが具体的に分かるイベントとなった。

