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弁護士・永沢徹 企業乱世を読み解く

「仕入れ値を開示せよ!」
セブン-イレブン加盟店の訴えは当然

――最高裁が指摘した「フランチャイズ」の問題点

永沢 徹 [弁護士]
【第38回】 2008年7月18日
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 今月4日、注目の判決が最高裁で出された。それは、コンビニ業界最大手「セブン-イレブン」における「仕入れ値開示」をめぐる訴訟だ。この事件は、埼玉県と群馬県の加盟店オーナーがセブン-イレブン本部に対し、「加盟店には一切、個別商品の仕入れ値が知らされない仕組みになっていて不自然。本部は仕入れ先(問屋)との取引内容を開示せよ」と求めているものだ。

 1審(東京地裁)、2審(東京高裁)ではともに、「仕入れ値の報告義務はない」として原告側(加盟店オーナー)の訴えを棄却。それを受け、原告は最高裁に上告。最終的に最高裁は、

 「加盟店と本部が結んでいるフランチャイズ基本契約には、仕入れ値の報告義務は明記されていない。しかしながら通常の商習慣から鑑みても、加盟店オーナーが仕入れ値の具体的内容を知りたいと考えるのは当然である」

として加盟店オーナーらの訴えを認め、再審理をするよう東京高裁に差し戻した。これから東京高裁において、具体的にどのような報告義務があるかを詳しく審理していくことになるわけだが、今回の判例はフランチャイズビジネスに大きな影響を与えたといえる。

 そもそも「フランチャイズ」とはどういう形態をさすのか?公正取引委員会によるとこう定義されている。

『本部(フランチャイザー)が加盟者(フランチャイジー)に対し、特定の商標・称号等を使用する権利を与えるとともに、加盟者の物品販売・サービス提供・その他の事業経営について、統一的な方法で統制指導・援助(フランチャイズパッケージ)を行ない、これらの対価として加盟者が本部に金銭(ロイヤリティ等)を払う事業形態』

 このような「フランチャイズ」という事業形態をとる企業は多い。今回のセブン-イレブンのようなコンビニ業界、ケンタッキーなどの外食業界などはまさにその典型だ。

本部と加盟者には
圧倒的な「情報格差」が・・・

 フランチャイズというのは、基本的には“事業者同士”が契約を行なうというビジネスモデルであり、自己責任を前提とした対等な関係であるとされる。

 しかし実際には、本部が有利な立場にあることが多く、両者の間に圧倒的な「情報格差」があるといわれている。つまり、本部側はマニュアルだけでなく、全加盟店の売上データや出店履歴など圧倒的な経営ノウハウを持っているが、反対に加盟者側は専門的な知識を持っていない個人経営者であることが多いのである。

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永沢 徹 [弁護士]

1959年栃木県生まれ。東京大学法学部在学中に司法試験合格。卒業後の84年、弁護士登録。95年、永沢法律事務所(現永沢総合法律事務所)を設立。M&Aのエキスパートとして数多くの案件に関わる。著書は「大買収時代」(光文社)など多数。永沢総合法律事務所ホームページ


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