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人を動かす 説得コミュニケーションの原則
【第15回】 2010年2月8日
著者・コラム紹介バックナンバー
福田 健 [C.N.S(株)話し方研究所会長]

相手が思わず説得されてしまう
上手な「比喩」と「たとえ話」の使い方

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 優秀だが、人づき合いの悪い部下がいた。人とつき合ってつまらないおしゃべりをするのは時間のムダと、さっさとひとりで帰ってしまう。

 あるとき、部長が彼に話しかけた。

 「キミは寺田寅彦という物理学者を知っているかね」
 「ええ、『天災は忘れた頃にやってくる』という名言を残した人ですね」
 「そのとおり。ところで、この人の随筆のなかに、こんな言葉がある。
 『頭のいい人は足の早い旅人に似ている。人より先に目的地につくこともできるが、途中の道端にある肝心なものを見落とす恐れがある』これをキミにプレゼントしよう」

 日頃から、よい比喩の採集を心がけよう。ここぞという場面で、狙い定めて適切な比喩を放てば、一瞬にして相手を説得することも可能になる。

「たとえ話」を生かして
場面を浮かばせる

 一口に、「たとえ話」といっても、いろいろあるが、共通するのは、場面がありありと浮かび、わかりやすく説得力に富む点だろう。

 本書でも、これまで随所に「たとえ話」を使ってきた。すなわち、
 ・主張の裏打ちとして
 ・メリットを強調するため
 ・聞き手の共感を得ようと

 引用するのだが、最終的には説得が目的である。日本人は、なかなか「質問」をしない。もっと質問するように説得する際、「たとえ話」を使うとどうなるか。

 スペイン語を勉強している日本の女性が、スペイン人の先生から、
 「辞書の引き方、知っていますか」
 「はい、知っています」
 「それでは人間の辞書を引いたことありますか」
 「人間の辞書ってなんですか」
 「私のことです。紙の辞書より正確だし、会話の能力を向上させるのにも役に立ちますよ」

 スペイン人の先生は、おもしろいたとえ話を使って、もっと質問するように、日本の若い女性を説得しているのである。

 よくできた「たとえ話」はあなたの言いたいことを代弁してくれ、人をその気にさせる働きをしてもくれるのだ。

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福田 健 [C.N.S(株)話し方研究所会長]

1983年株式会社話し研究所を設立。2004年に会長に就任。「コミュニケーション」を軸にした講座、講演を企業、官公庁を中心に行い、話し方研究所でもセミナーを開催。主な著書に、『人を動かす会話術』『上手な「聞き方・話し方」の技術』などがある。


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