
仕事の効率を最優先する「タイパ(タイムパフォーマンス)」志向の若手と、「まずは自分で考えなさい」と指導する上司——あなたはどちらの考えに共感しますか。若手世代の間では、無駄を省き、最短距離で成果を出すことが求められる風潮があります。動画を倍速で視聴し、最適解を即座に知りたがる。そんな習慣が、仕事の場面にも影響を与えているのです。しかし、「効率化の落とし穴」があることに気づいていない人は多い。タイパを追求しすぎた結果、思わぬ代償を払うケースも…。果たして、そのリスクとは何なのか。この記事では、タイパ重視の働き方がもたらす影響を深掘りし、仕事における成果と成長のバランスについて考えます。(クライス・アンド・カンパニー代表取締役 丸山貴宏)
タイパ志向が強い若手が背負う
「大きすぎる代償」
タイパ(タイムパフォーマンス)という言葉がいつ頃から広まったのかを調べてみました。すると、三省堂が主催する、「辞書を編む人が選ぶ『今年の新語2022』」でタイパが大賞に選ばれています。その頃から一般に認知が広がったのかもしれません。
動画の倍速視聴に代表される「時間対効果」を意識した行動は、若者世代にはよく見られます。これは私の世代にはあまり見られなかった傾向で、仕事においても若手が時間を意識して賢く業務を効率化しようとしている姿がよく見られます。早く仕事を終わらせることへの意識が非常に強く、生産性を上げるという点でとてもよいことだと思います。
ただ効率化しようとする傾向が強くなるあまり、できるだけ早くノウハウを手に入れようとして「答えを知っているなら教えてください」と上司や先輩に迫り、「まずは自分で手を動かしなさい!」と言う上司と摩擦が生じるような事態も起こっているようです。
仕事でタイパを追求することは大切ですが、程度が過剰になると大きな落とし穴があることには注意が必要です。では、その落とし穴とはどのようなものでしょうか。