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JALとANAには死活問題
羽田空港活用をめぐる神経戦

週刊ダイヤモンド編集部
2009年6月2日
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 羽田空港は2010年10月に4本目の滑走路の供用が始まり、発着容量が1.4倍に拡大する。この新たに増える発着枠をめぐり、日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)が今、真っ向から対立している。

 バトルが繰り広げられているのは国土交通省航空局長の私的懇談会である「羽田空港発着枠の配分基準検討懇談会」(通称・スロット懇談会)。増加分の年間発着容量約11万回のうち、まず5万回が10年から運用される。国土交通省は国際線に3万回、国内線に2万回を配分する予定。スロット懇では2万回増える国内線発着枠を10年以降、航空会社へどう配分するかを話し合っている。

 「多頻度小型化(航空機を小型化し、運航を多頻度化する)による利便性向上、需要掘り起こし、地方間の路線網拡充」を主張するのはJAL。対してANAは「小型機ほど一座席当たりのコストが上がるし、高需要時間帯に対応できない。一律に小型化・多頻度化するのではなく、路線ごとの需要規模や特性に合った機材・便数設計を行なうことが重要」と反論する。

 これだけ聞くと運用をめぐる細かい争いにすぎないかのようだが、そのじつ、両社には生死を賭けた戦いとなっている。もう少し両社の主張を掘り下げよう。

 JALは「今回の増枠数では必要な地方路線ネットワークの構築、増便には不十分であり、最終形の72便(全増枠分11万回の1日当たり便数)についても最大限国内線に配分されることが必須」と訴える。ANAは「国内線と国際線へ発着枠をバランスよく配分して羽田空港のハブ機能を強化し、乗り継ぎ利便性(地方~地方、地方~海外)を高めるべき」と言う。

 端的にいえば、JALは「羽田は国内線に徹しろ」、ANAは「羽田を国際ハブにしろ」と主張しているのだ。

 成田空港を拠点とするJALは、国際空港としての成田のポジションを脅かす羽田の本格的な国際化を阻止したい。羽田を拠点とするANAは、少子高齢化や新幹線の延伸で国内線需要が縮小していくなか、羽田を足がかりにして国際線に生き残りの道を見出したい。国内線2万回の議論においてJALは羽田の国際ハブ化の芽を摘もうと、ANAはハブ化の基盤をつくろうと躍起なのである。

 ただ両社の意見はつまるところ、事業者の損得勘定。成田、羽田を含む首都圏空港の真の有効活用を推進する強力な国策はなく、アジアハブのポジションはすでに韓国、中国などに奪われている。巻き返しを図ろうにも、現政権もこの問題には本腰を入れぬままだ。

 「波及力のある経済対策にもなる首都圏空港戦略を国として真剣に考えてほしい。このままでは空港とともに沈没してしまう」。これが将来を憂う航空産業関係者の共通した本音である。


(「週刊ダイヤモンド」編集部 臼井真粧美)

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