保険ラボ

日本経済団体連合会の次期会長に日本生命保険の筒井義信会長が就任するというビッグニュースが飛び込んできた。その直後、日本生命の清水博社長が交代することも明らかとなった。次期社長に就任する朝日智司副社長とはどんな人物なのか。そこで連載『ダイヤモンド保険ラボ』の本稿では、朝日氏の人物像に迫るとともに、朝日氏の次の社長人事についても深読みする。(ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)

日生の筒井会長が経団連会長に
併せて日生のトップも交代

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Q 2024年12月は日本生命保険の話題で持ちきりでしたね!

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A 12月11日に、日生が米系生保のレゾリューションライフを約1兆2000億円で買収すると発表したと思ったら、同16日には、経団連副会長の日生の筒井義信会長が日本経済団体連合会の次期会長に就任するというビッグニュースが飛び込んできました。さらに、翌17日には日生のトップ交代まで明らかになりましたからね。

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Q レゾリューションの買収については、24年1月23日に保険ラボ『日本生命が2100億円でニチイ買収、水面下で動いた「海外新規出資3.4兆円」の深層』で報じていますので既知の情報ではありましたが、二つの人事についてはサプライズでした。

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A 経団連会長人事には驚きましたね。金融機関出身の会長就任は初のことですし、製造業以外から選出されたのは、1990年に会長に就任した東京電力出身の平岩外四氏以来の2人目です。

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Q なぜ、筒井氏が選ばれたのでしょうか。

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A 経団連の十倉雅和会長は後任人事について「製造業にこだわらない」と常々発言していたようですね。また、筒井副会長と共に活動していく中でウマが合い、十倉氏の筒井氏に対する信頼が高まっていったと言われています。記者団に対しては、「人物本位で選んだ」と語っています。

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Q 経団連は12月に、40年を見据えた「FUTURE DESIGN 2040」という提言を行い、全世代型社会保障やエネルギー政策、教育・労働、GX(グリーントランスフォーメーション。脱炭素化)などを掲げました。それらを提唱した十倉氏の価値観と筒井氏の価値観が合ったという報道が多いです。

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A 筒井氏は今年設立されたGX推進機構の初代理事長に就任していますし、日生も機関投資家として脱炭素化の実現に向けた投融資を強力に進めています。そうした点でも価値観が一致したのかもしれません。

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Q なるほど。とはいえ、日生は株式会社ではなく相互会社ですので、経団連会長の出身母体としては悩ましいところですね。

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A そうした声はありますね。保険会社にのみ認められている相互会社というのは、相互扶助の精神に則り、保険契約者が社員となって互いに助け合うための組織形態で、いわば非営利法人です。対する経団連は営利企業の団体であり、その代表格の集まりですからね。

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Q 日生はグローバル展開も遅れています。

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A 現在、グループ基礎利益に占める海外事業の割合は4%しかありません。ただ、米コアブリッジ・ファイナンシャルへの出資とレゾリューションの買収によって、その比率は約20%にまで高まります。

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Q 今年、相次いで買収・出資を行いましたね。

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A 海外事業の買収・出資を急いでいるイメージでしたが、要因の一つに経団連会長人事があったのかもしれませんね。

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Q 次に、日生の社長人事ですが、大方の予想に反して、副社長の朝日智司氏が次期社長に就任することになりました。こちらもサプライズでした。朝日氏が選ばれた要因や、朝日氏の人物像、次の次の社長候補など気になる点がたくさんあります。