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岸博幸のクリエイティブ国富論

事業仕分けに騙されるな

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第85回】 2010年4月16日
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 4月23日から事業仕分け第2弾が始まります。そこで今週は、事業仕分け第2弾の問題点と民主党政権の思惑について考えてみたいと思います。

マニフェストとの矛盾

 私は事業仕分け自体を否定する気はないのですが、それでも今回の第2弾についてはちょっと首を傾げざるを得ません。それは、今回の対象が独立行政法人と公益法人だからです。

 既に色々と報道され出しているように、これらの法人は、天下り、随意契約、非常識な予算内容などが山盛りであり、支持率を回復したい政権にとっては“宝の山”です。メディアにとっても美味しいはずです。しかし、だからと言って、わざわざ公開の場で個々の法人や事業を仕分ける必要があるのでしょうか。

 昨年の衆院選の民主党のマニフェストを思い出して下さい。そこでは、独立行政法人については「全廃を含めて抜本的な見直しを進める」、公益法人については「原則として廃止する」と明記されています。

 かつ、事業仕分けの準備のためとは言え、民主党の仕分け人や新人議員が既にたくさんの法人を対象とした事前調査を行なっており、枝野大臣他の関係者は既にある程度実態を把握できているはずです。

 それならば、わざわざ公開の場で個々の法人や予算を取り上げて検討しなくても、マニフェストどおりに独法・公益法人は全廃、これらの法人への天下り・渡りは全面禁止といった方針をさっさと決めて、必要があれば、その例外としなくてはならない法人や事業について議論すれば良いのではないでしょうか。

 報道によると、事業仕分け第2弾の前半戦の対象は独立行政法人ですが、約100ある法人のうち54が対象となるようです。しかし、それらの法人を選んだ基準もまったく不明です。「全廃」という方針を実現するのに資する検討が行なえる法人を選んだのでしょうか、それとも、官僚の公開処刑という政治ショーを盛り上げる観点から、問題の多い法人を選んだのでしょうか。もし後者だとしたら論外です。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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