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岸博幸のクリエイティブ国富論

日本は今はギリシャに学ばなくていい
~世界的な財政再建ブームに悪乗りするな

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第93回】 2010年6月18日
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 菅政権の経済と財政に関するスタンスが徐々に明らかになってきていますが、正直、危うさを感じざるを得ません。財政至上主義とも言えるくらいに、財政再建ばかりが優先されているからです。今週は、それで本当に日本経済は大丈夫なのかを考えてみたいと思います。

ヨーロッパと日本では経済の状況が違う

 霞ヶ関から聞こえて来る話では、菅総理は財務大臣時代に、G7などの国際会議の場でギリシャと欧州の財政危機を巡る切迫した状況を肌身で感じ、財政再建の必要性を強く認識したようです。

 もちろん、財政赤字と累積債務の水準を考えると、日本にとっても財政再建は不可欠であり、そのために消費税増税が不可避であることは間違いありません。しかし、世界的な“財政再建”ブームに乗っかって財政再建ばかりを優先した経済財政運営を行なうのは、考えものではないでしょうか。

 それは、日本と欧州では経済の置かれた状況が大きく異なるからです。欧州経済と異なり、日本経済は15年も続くデフレに悩まされており、需給ギャップも20~25兆円程度とかなり大きいままです。

 この需給ギャップをどう解消してデフレをいかに克服するかというマクロ経済運営戦略が不明確な中で、財政至上主義的に財政再建を優先しようとしたら、デフレからも脱却できず、税収も増えないので財政再建自体もうまくいかなくなる可能性が高いのではないでしょうか。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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メディアや文化などソフトパワーを総称する「クリエイティブ産業」なる新概念が注目を集めている。その正しい捉え方と実践法を経済政策の論客が説く。

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