「消費税16%」で教育・医療・介護・障害者福祉がタダになると言われたら、あなたはどう思いますか?ムダが多ければ多いほど、税の負担は増えていく。子どもたちに、自分たちが決めてもいない負担を押しつけるのは公正ではない(写真はイメージです) Photo:PIXTA

教育費・医療費・介護費・障がい者福祉がタダ、そんな社会を実現する「ベーシックサービス」という考え方が広がっています。提唱者である井手英策・慶應義塾大学経済学部教授は、ベーシックサービスと税の話は切っては切れない関係にあると指摘します。こうしたサービスの無償化には、一体どれほどのお金がかかるのでしょうか? 井手教授の著書『ベーシックサービス 「貯蓄ゼロでも不安ゼロ」の社会』(小学館新書)から抜粋・編集してお届けします。

《貯蓄ゼロでも不安ゼロ》の社会

 ベーシックサービスの無償化、つまり、医療、介護、教育、障がい者福祉の自己負担をなくすためには、どれくらいのお金がかかるのでしょうか。

 ここが一番みなさんの知りたいところですよね。結論から言います。もし、みなさんが、「消費税を16%ちょっとにあげてもいいよ」とおっしゃれば、その瞬間に、ベーシックサービスは無償化されます。住宅手当の創設も、失業給付の充実もできます。

 仮に、毎年度の財政赤字をなくすのであればもう3~4%くらい必要となる計算です。財政再建まで考えると20%くらいをめざして消費税率をあげることになります。

 ここで言う無償化は実質的な意味での無償化です。たとえば、義務教育で必要になる給食費や学用品費、修学旅行などのお金も要らなくなります。あるいは保育士や幼稚園の先生、介護士さんの給与も引きあげられて、利用者の待機問題を解消できます。

 いま100円の飲み物が110円から116円ちょっとになる、かわりに、 子どもの教育費の心配をせずにすみ、医療や介護などの老後の心配もなくなる、もし、自分や自分の子どもが障がいをもっていても、お金の心配をしなくてすむ、ということです。

 そうです。《貯蓄ゼロでも不安ゼロ》の社会は作れるんです。そんな社会をめざすために、税金を「取られるもの」から「暮らしの会費」に変えていく。ここがポイントです。