消費税アップの「実施前」と「実施後」で世論調査の結果が様変わりした驚きの理由6%強の消費増税がライフセキュリティに使われるかぎりは、はらったお金が全部みなさんの手にもどってきているはずだ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

教育費・医療費・介護費・障がい者福祉が全部タダ!そんな社会を実現する「ベーシックサービス」という考え方が広がっています。提唱者の井手英策・慶應義塾大学経済学部教授が提案する「増税恐怖症」の処方せんとは?井手教授の著書『ベーシックサービス 「貯蓄ゼロでも不安ゼロ」の社会』(小学館新書)から抜粋・編集して紹介します。

信じられない政府という壁

 もうひとつ、大きな困難があります。それは政府への不信感という問題です。

 政府のなかにいる人びとを信頼できるかという問いにたいし、「つよく賛成」「賛成」と回答した日本の人の割合は、「国際社会調査プログラム」では38対象国・地域中36位、「世界価値観調査」でも、「政府をどの程度信頼しますか」という質問にたいし、「非常に」「かなり」と答えた人の割合は60カ対象国・地域中52位です。

 みなさんのなかにも、政府のことが信用できない、政府は私たちの希望どおりに税金を使ってくれない、という不信感があるかもしれません。

 この批判にはふたつの答えを示したいと思います。

 まず消費税法の第1条2を見てください。消費税の収入については、毎年度、制度として確立された年金、医療、介護、そして少子化対策にあてると書かれています。

 児童手当ともからんで、消費税の対象経費がこれだけで良いのかという問題はあります。ですが、制度的には所得税や法人税のほうが目的外に使用されるリスクは高いですから、政府が信じられないなら、使いみちを限定している消費税をいかすべきです。