女子生徒と教師写真はイメージです Photo:PIXTA

SAPIXの広野雅明先生に「中学受験の素朴な疑問」をぶつける連載。「学校名公開!SAPIX広報が教える『評判以上に満足度が高い中高一貫女子校4選』」で取り上げた中高一貫校を4本連続で紹介する。第2回は豊島岡女子学園 中学校・高等学校。広野氏は、「時代が要求しているものをきちんと用意している」と評する。オールイングリッシュ授業をあえて取り入れない「英語教育」、東大工学部ともコラボする「理系教育」、中学時代から大学受験を視野に入れたカリキュラムなど、時代と生徒のニーズを捉えた教育を提供している。(聞き手・文/教育アドバイザー 鳥居りんこ)

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2月1日入試を導入しない
豊島岡の狙い

――前回は女子御三家の一つ、桜蔭を取り上げました。今回は満足度が高い女子校の2校目です。

 好対照な学校として豊島岡女子学園を挙げてみましょう。

 豊島岡は女子裁縫専門学校を前身とする歴史ある学校(1892年創立)です。幾度かの校名変更を経て、1947年に現在の池袋に移転し、豊島岡女子学園となりました。豊島岡は1990年代から一気に進学校の階段を駆け上がっていくのですが、それは学校の戦略が功を奏した結果です。

 当時は子どもの数が多かったので、1回だけの入試でも定員を十分に満たせていました。大抵の学校は2月1日(東京・神奈川の中学入試解禁日。約1週間に渡って各校の入試が実施される)に受験日を設定していたのですが、豊島岡はあえて2月2日に変えたんです。

 要は第1志望校受験に失敗した学力の高い子を受け入れる戦術をとりました。その後も入試回数を増やし、現在は2月2日、3日、4日の3回入試になっています。

 これを実施した学校は他にもあり、進学校化に成功したところもありますが、この中のほとんどの学校が第1志望の子をとろうと入試日を2月1日にシフトしていきました。しかし、豊島岡はかたくなに入試日を動かさなかったのです。今でも2月1日の午前には入試が設定されていません。