夏の甲子園大会(全国高校野球選手権)が開幕した。
人々の野球離れが進んでいるといわれるが、高校野球人気は相変わらず根強いものがある。行われるのはお盆をはさんだ夏休みの時期。故郷に帰る人は帰省先で、帰らない人も故郷のことを思い出して出身都道府県の代表チームの試合を見る機会が生まれる。
プロ野球に比べればプレーのレベルは低い。だが、負ければ終わりのトーナメント戦で選手はみんな必死だ。また動揺がプレーに表れ試合結果を左右することもある。そして負ければ号泣。故郷への思いとともに、そんな若者の姿に心惹かれ、つい見てしまうのだ。
このように高校野球は郷土意識と密接な関係にあるせいか、この数年、野球留学生が問題視されるようになった。野球部強化に力を入れる私立校などが他の都道府県から好素材をスカウトしてチームをつくる。中には大半が野球留学生という高校もあり、それでは地元代表として応援できないというわけだ。
高野連が05年に実態調査を開始
07年には議論が大きく盛り上がる
そうした流れもあって高野連が野球留学生の実態調査に乗り出したのは05年。追い打ちをかけるようにその議論が盛り上がったのは07年だ。埼玉西武ライオンズの裏金問題に端を発し、野球部強化に熱心な私立校の特待生制度が知れ渡った。それができる私立校に地元の生徒だけで頑張る高校が負ける図式はおかしいという声が高まった。
以来、甲子園出場校でも野球留学生の比率が高い高校は冷たい視線を浴び、県内出身者で固めた高校は好感を持たれるという、従来にはなかった見方がされるようになった。
そうした影響なのか、今大会の出場校49校を見ると県外出身選手の比率が低くなっている。過去の夏の甲子園で最も県外出身者の比率が高かったのは02年の26.3%。すべてが野球留学生とは限らないが、実に4分の1が県外出身選手だった。この後も20%台が続き、高野連が実態調査をした05年は21.2%。それが今大会は18.3%に減っているのである。