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異例の“非伝統的政策”を総動員しても
必ずしもデフレ脱却に結びつかない「日銀のジレンマ」
――日本総研 翁百合理事に聞く「日銀追加金融緩和の意味」

2010年10月14日
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10月5日、日本銀行(日銀)が異例とも言われる追加金融緩和政策を決定した。しかし、その効果は限定的なものに留まり、6日には円相場は逆に82円72銭の高値を付けた。11月2~3日にかけて、米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、大規模な追加の金融緩和政策が打ち出されるとの観測が根強い。こうした状況の中、今回の日銀の金融緩和政策は、どのような効果を持つのか。デフレーション(デフレ)脱却への展望は開けるのか。日本総研理事で金融政策、金融制度に詳しい翁百合理事に聞く。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 林恭子)

3点パッケージの「包括緩和」
早い段階での踏み込んだ介入に評価

――5日、日銀が決定した追加金融緩和政策は、「異例の金融緩和政策」として注目を集めている。具体的には、どういった点がここ数年行われてきた追加金融緩和政策と異なるのか。また、どのように評価しているか。

おきな・ゆり/日本総合研究所調査部理事。1960年東京生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業。同大学院経営管理研究科修士課程修了。日本銀行勤務を経て、現職。

 金利誘導目標の引き下げ、金融緩和政策を継続するという時間軸の明確化、多様な金融資産の買い入れなどを行う基金の創設という、「3点パッケージ」を包括的に打ち出したことは今までと大きく異なり、今回の特徴といえる。

 リーマンショックの後の厳しい状況時にも(国債など信用力の高い債券以外の)社債、コマーシャルペーパー(CP)の買い取りを行った経験はあるが、今回は基金を設けることで株式指数連動型上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(J─REIT)も含めて購入していく。つまり、いわゆる信用緩和、リスクプレミアムを小さくしていくことによって、一層緩和効果を拡大していこうとしている面がある。

 また、こうした金融資産を買い取る基金は5兆円規模で、量的緩和的な色彩になっていることも今までとは異なる点だ。以前の量的緩和は、民間銀行が日銀に保有する当座預金の残高をターゲットにしていたが、今回は信用緩和という質の違う形での追加金融緩和となっている。金利だけでなく、量、リスクプレミアム、時間軸とセットで打ち出したところが大きな違いだろう。

 今までは日銀は後手後手の対応になっている印象があったが、今回はかなり踏み込んだという点も評価している。8日に行われたG7会議前であるうえ、近くアメリカも追加緩和政策を行うだろうと予想されていたので、かなり包括的な措置に踏み込んだのだろう。

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