「忘れたくないことに限っては簡単に忘れ、逆に忘れたいことは忘れられない」のが人間だ。早朝のランニング、寝る前の勉強など習慣にしようとしても次の日には忘れてしまいがち。では、やるべきことをしかるべきタイミングで思い出すにはどうすればいいのか?「習慣化」を研究する博士とズボラな社会人との軽快なかけ合いを通じて学んでみよう。※本稿は、戸田大介『200万人の「挫折」と「成功」のデータからわかった 継続する技術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。
博士:生涯をかけて習慣化について研究してきた学者
高橋くん:なんでも三日坊主で終わってしまう社会人3年目の若者。習慣化に興味を持ち、博士の大学の研究室を訪ねた
忘れてはいけないことに限って、
人はいとも簡単に忘れるものだ
「時に高橋くん」博士は言いました。
博士:「忘れたいことに限って忘れられないのが、人間というものだよね」
高橋くんは同意しました。
高橋くん:「そうですね。過去を振り返ると、そこには忘れ損ねた恥しかありません」
博士:「うんうん」
同じく恥の多い生涯を送ってきた博士は、心を込めて頷きました。
そして博士は、「でもそれなのに」と言いました。
博士:「忘れてはいけないことに限って、人はいとも簡単に忘れる」
習慣化を作り出すのは
「行動できるタイミング」の記憶化にある
博士は本題に入ります。
博士:「習慣化したいことも、人はすぐに忘れる」
高橋くん:「筋トレしようと思ってたのに忘れてた、とかってありますもんね」
博士は頷き、続けました。
博士:「そしてさらに厄介なことに、人は思い出しても行動できないときもある」
高橋くん:「え、そうですか?」
高橋くんはピンと来ていません。
博士:「たとえば『出勤前にスクワットする』と決めた人が、オフィスに着いてから『あ、忘れてた』と思い出しても、スクワットできないよね?仕事中だから」
高橋くん:「あ、なるほど」
高橋くんが納得すると、博士は結論を述べました。
博士:「つまり実際に僕たちが行動を起こすためには、それを『行動できるタイミング』で思い出す必要があるんだ」
1日の中で「行動できるタイミング」は
実は意外と短い
博士:「しかも『行動できるタイミング』というのは意外と短い。たとえば勉強を例にとると、高橋くんが『勉強できるとき』はこんな感じかな」