2024年12月の政策決定会合で日本銀行は金融政策の現状維持を決めた。ペースは鈍化するとはいえ25年にFRBが利下げを継続することは確実。円安で利上げに追い込まれる懸念がなくなった日銀は、「賃金と物価」の好循環を金融緩和で支えるという本来の姿に回帰できそうだ。(SMBC日興証券 チーフ為替・外債ストラテジスト 野地 慎)
1月の会合での利上げ見送りも
示唆した日本銀行
2024年12月19日の日銀金融政策決定会合では利上げが見送られた。
大方の市場参加者の予想通りの結果といえたのだが、その後の会見で植田日銀総裁は利上げの判断材料としての賃上げについて、「来年の春季労使交渉(春闘)のモメンタムなど今後の賃金の動向についても少し情報が必要と考えている」と発言した。
春闘の結果が出そろうのは3月前後であり、植田総裁の発言からは1月の政策決定会合においても利上げが見送られることが示唆されている。
植田総裁の発言からドル円の上昇が進んだのだが、「早ければ12月に追加利上げ」とされた日銀の金融政策の方向感に何らかの変化が生じたのだろうか。
次ページでは、24年の金融政策の歩みを振り返りつつ、その方向感の変化について論じてみたい。