総予測2025#30Photo:bCracker/gettyimages

日本銀行が2024年12月の金融政策決定会合で追加利上げを見送り、円安ドル高が進んだ。日本の低金利への不満と、円安による円資産価値の下落への警戒感から、日本よりも高い金利を求めた外貨建て投資のニーズは根強いだろう。そして米国が利下げに転じたことで、米ドルではない高金利通貨への関心が高まりそうだ。特集『総予測2025』の本稿では、25年に注目の高金利通貨について、予想レートと見通しを解説する。(ミンカブソリューションサービシーズ外国為替情報担当編集長 山岡和雅)

対中「トランプ関税」でも人民元は管理変動相場
中国への輸出国の通貨は不安定な動きに

 日米金利差の縮小やドナルド・トランプ次期米大統領のドル安志向で、投資対象をドルから他の高金利通貨に変える動きが強まりそうだ。2025年の注目通貨の予想レートとポイントを展望しよう。

 トランプ氏は、中国からの輸入品に60%の関税を課する意向を示すなど、中国に強硬な姿勢を取る。加えて、国務長官などの要職に、対中強硬派を起用する方針を示した。

 中国製品への関税を60%に設定することは困難かもしれないが、その後示した10%の追加関税ならば実現する可能性がある。この場合、中国景気の鈍化は避け難いだろう。

 ただし、中国人民元は管理変動相場制であり、中国当局によって相場の変動がある程度抑えられる。

 一方、対中輸出が経済に占める割合が大きい国の通貨であるオーストラリアドル(豪ドル)、ニュージーランドドル(NZドル)、南アフリカランド、メキシコペソはかなり不安定な動きが見込まれる。

 次ページでは、豪ドルやNZドルなど25年に注目の高金利通貨の予想レートとポイントを解説する。